6人の始まりの縁

第1話 始まりの春

 暖かな風が肌を掠め、桜の舞う道を何人もの人が通り抜けていく。彼らが向かう先はとある高等学校。県内では有名な学校で自主性がモットーの生徒たちを尊重する。まるで理想的な学校だろう。3年前に創立した出来立てほやほやの校舎だ。

「ねぇねぇ、みんな一緒のクラスになれるかな?」

 元気いっぱいで第一声を放った彼女は

櫻木さくらぎ 桃架ももか』。髪はツインテールで背が低い。いわゆるマスコット的な存在でみんなから愛されている。

「そうね、それなら高校スタートが楽しくなりそうだわ」

 虎視眈々と話す彼女は

雪代ゆきしろ 香奈恵かなめ』。髪は肩まで長く下ろしており、スタイルが良い。女優と勘違いされてもおかしくない美貌だ。

「別にクラスが違っても俺たちのは切れないだろ?」

 キメ顔をしてボクを見てくる彼は

紅坂あかさか ひいろ』。髪は流行りのウルフカットで、身長も高い。イケメンではあるが実はかなりのドジっ子なのだ。

「確かにそれはそうだけど…って柊…お前寝癖すごいことになってるよ」

 そしてそんな残念イケメンさんに返事をしたボクは

海風うみかぜ 瑠衣るい』。

 パッとしない見た目でいかにも高校デビューですと言わんばかりのイメージである。

「は?ってマジじゃん恥ずかしいわー」

 柊は顔を赤らめることもなく、笑いながら髪をくしで整える。

「「「はぁ…」」」

 ドジさえしなければかっこいいのにとボクら3人は思うのだった。


 -----------------同時刻での別の縁結び----------------


「ねー、写真とろーよー」

 この絡みが面倒な女は

火華ひばな 夏織かおり』。

 見た目がギャルで茶髪だが、実は近寄りがたいとは思えないぐらいしっかりしてる性格なのだ。

「んぁ…面倒だから嫌だわー、そんなことどうでもいいから行くぞ」

 怠そうに答えた俺の名前は

鈴鹿沙すずかさ 燐禰りんね』。

 よく周りから怖いだの、高身長筋肉野郎とか言われる。姉からはお洒落すればモテるとは言われるが、怖がられてる時点でもう無理な気がしている。

「…えいっ。はいチーズ!」

「ちょっおまっ…やめ」

 夏織が俺の腕を強く引き、自分の方に近く寄せすぐさまシャッターを押す。

 必死に抵抗したかったが急だったもので何も出来なかった。せめていい顔で写りたかったものだ。

「ふっふーん♪満足満足〜」

 夏織は笑顔で機嫌良さそうにステップを踏みながら前へ歩く。

「はぁ…」

 高校初っ端からツイてないな…とため息をつく今日この頃です。

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