6人の始まりの縁
第1話 始まりの春
暖かな風が肌を掠め、桜の舞う道を何人もの人が通り抜けていく。彼らが向かう先はとある高等学校。県内では有名な学校で自主性がモットーの生徒たちを尊重する。まるで理想的な学校だろう。3年前に創立した出来立てほやほやの校舎だ。
「ねぇねぇ、みんな一緒のクラスになれるかな?」
元気いっぱいで第一声を放った彼女は
『
「そうね、それなら高校スタートが楽しくなりそうだわ」
虎視眈々と話す彼女は
『
「別にクラスが違っても俺たちの縁は切れないだろ?」
キメ顔をしてボクを見てくる彼は
『
「確かにそれはそうだけど…って柊…お前寝癖すごいことになってるよ」
そしてそんな残念イケメンさんに返事をしたボクは
『
パッとしない見た目でいかにも高校デビューですと言わんばかりのイメージである。
「は?ってマジじゃん恥ずかしいわー」
柊は顔を赤らめることもなく、笑いながら髪をくしで整える。
「「「はぁ…」」」
ドジさえしなければかっこいいのにとボクら3人は思うのだった。
-----------------同時刻での別の縁結び----------------
「ねー、写真とろーよー」
この絡みが面倒な女は
『
見た目がギャルで茶髪だが、実は近寄りがたいとは思えないぐらいしっかりしてる性格なのだ。
「んぁ…面倒だから嫌だわー、そんなことどうでもいいから行くぞ」
怠そうに答えた俺の名前は
『
よく周りから怖いだの、高身長筋肉野郎とか言われる。姉からはお洒落すればモテるとは言われるが、怖がられてる時点でもう無理な気がしている。
「…えいっ。はいチーズ!」
「ちょっおまっ…やめ」
夏織が俺の腕を強く引き、自分の方に近く寄せすぐさまシャッターを押す。
必死に抵抗したかったが急だったもので何も出来なかった。せめていい顔で写りたかったものだ。
「ふっふーん♪満足満足〜」
夏織は笑顔で機嫌良さそうにステップを踏みながら前へ歩く。
「はぁ…」
高校初っ端からツイてないな…とため息をつく今日この頃です。
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