第87話 コスタリア貧民街の日常3
テト達とおままごとで遊んでいたらお昼ご飯の時間になってしまった
今までは少ない食材をやりくりしながら自分達で作っていたようだが最近の孤児院では教会への寄付が増えたらしくきちんとした厨房で料理人さんが作ってくれている
「それでは女神セレスティア様と聖女アイラ様に感謝の祈りを捧げてからいただきましょう。セレスティア様、アイラ様いつも見守っていただきありがとうございます」
「「「ありがとうございます!!」」」
一番年上の女の子に続いてみんなが一斉に感謝の言葉を口にしてご飯を食べ始める
お昼ご飯になると近くの商店や森に採集に行っている年上組も一旦戻ってきて一緒に食べるようだ
いままでひもじい思いをしてきたのに今は余るくらいにご飯が用意されているとか
子供たちの食料事情が改善されてきたのは非常に良いことゴブ
「教会の方は今日も行列が出来て忙しいようね」
「そうなんです、日に日に巡礼者が増えてきているうえに今日は仕事が休みの女神の日ですから普段忙しくて来れない人たちも癒しを求めて朝からすごい行列です」
「わずかな寄付でもしっかり癒してくださる女神セレスティア様と聖女アイラ様の像の効果はすごいですものね、しっかり受付して列を整理するだけで大変です」
ご飯をいただきながら仕事の大変さを力説しているが笑顔で語っているのでそこまでイヤではなくやりがいを感じていそうだ
う~ん、やりがいある仕事になっているのは良いことだけどこのままオーバーワークと需要と供給のバランスが崩れたままだと不平不満が蓄積してしまうゴブ
「ゴブ~」(何とかみんなが楽になってたくさんの人を癒せる方法がないゴブか)
そうだ、いいことを思いついたゴブ
コスタリア家のように癒しの聖水でお風呂を作って誰でも入れるようにすれば像の前の行列が無くなるゴブ
少しぐらいのケガや体調不良は公衆浴場で、ひどいケガや病気は教会の像に頼るように棲み分けをすればいいんじゃないか
今はどんなささいなケガや疲れただけでも教会に通っているから本当に治療が必要な人たちの治療が遅れてしまっているかもしれないゴブな
本当に必要な時以外は救急車を呼ぶのはやめようってところだゴブ
「ゴブ、ゴブブ」(テト、いいことを思いついたゴブ)
「え~、なに~、おかわりはもういいよ~。お腹いっぱいだよ~」
「ゴブ~」(ご飯はもういいゴブ、みんなが楽になるいいことがあるゴブ)
「へぇ~、もっとお金がもうかるいい話があるだって~」
違うけどまあ似たようなものか・・・
「ほほぅ、その話もっと詳しく教えていただいても?」
会計士さんが興味を示して隣の席に移動してきた
テトの奴、うまく説明して伝えられるかな
結局わたしが身振り手振りと地面に絵を書いて説明するハメになりました
お風呂、聖水、一般開放といったキーワードはなんとかテトから伝えられた
「ふうむ、誰でも入れる癒し効果のある大浴場ですか・・・素晴らしい発想です。これが出来るとさらなる集客とこの地域の発展が・・・そして雇用が産まれますね」
元闇魔法ギルドの会計士さんはだいたいの計画内容を把握できたようだ、賢いな
「これはドノバン一家の方が得意分野かもしれませんね。売春宿経営をそのまま一般開放して大人数で利用できるような建物にしてしまえば出来るのかと」
「ゴブブ」(聖水にするのは任せるゴブ。すでに屋敷で実績があるゴブ)
会計士さんは紙に色々書き込んで足早にどこかに行ってしまった
「テトもねぇ~お風呂入るの大好きだよ~前まで井戸の冷たいお水で体をふくだけだったけど~。最近はシスターのお部屋のとなりに大きいお風呂が出来たんだよ」
こっちの世界では以前の転移組が広めたのか最低週に1回でもお風呂に入るっていう習慣が浸透しているからな。絶対日本人の転移者のこだわりだろ。
「お姉ちゃんたちもお風呂大好きだよ~。女神の日の前だけじゃなくて週に一回夜にこっそりみんなで集まってシスターのお風呂で洗いっこしてるもん」
「どきっ、テトなんでそれを知っているの!」
「えへへ~、気になったからチュー太に頼んで天井のすき間から見てたよ~」
「ちゅ~」
テトが呼ぶと子供のネズミがとととっと走りこんでテトの肩に登ってきた
おおっ、もうすでに一匹テイムしている
しかも視覚共有とか出来ているし本物のテイマースキル持ちは伊達じゃないな
「えへへ~、女の子は全身が武器なんだよ~。男の子のいうことは聞くけど最後には女の子の思い通りになっているようにするんだって」
「ぶはっ!あんたどこまで見てたのさ!」
「えへへ、いつも見てるし聞こえているよ~。今もシスターが洗いっこしてたし~」
ほぉ~、視覚共有だけでなく聴覚共有も出来ているとは・・・テトは優秀ですな
どこかの聖女様に本物のテイマーとは何たるかを教えてあげてほしいゴブ
そして相変わらずライアンの奴は一人でお風呂も入れないのか、ポンコツめ。
わたしはチュー太にパンくずをあげて仕事の疲れをねぎらった
ついでに聖魔法の[祝福][強化]を掛けてそこらへんのネズミより大幅に能力を上げておいてやるか
「ちゅ~」
よしよし、これからもご主人様のためにいっぱい働くんだぞ
わたしはテイムされている訳ではないから命令されないし働かないがな!
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