52話 ダンジョンその二
階段を下りると、同じような草原が広がっていた。
特にお宝もなく、ゴブリンをハクが倒していく。
階段もすぐに見つかったので降りていく。
「さて、地下二階ね。ここからは他の魔物も出るわ」
「ここも草原か」
「初心者用に、低層は草原が多いわね」
「そうなのか?」
「だって見渡しいいじゃない? だから奇襲も防げるし、さらに魔物も弱いし」
「なるほど、言われてみれば。ここからは、どんな魔物が?」
「確か、ハウンドドッグが出るわ」
「犬系の魔獣か……」
ハクと似たような種族ということか。
だが、敵となれば話は別だ。
情が湧かないように気をつけなくてはいけない。
「貴方に殺せる? 結構いるのよ、自分の相棒に近いと殺せないって人」
「いや、そこは割り切ってるから平気だ。そもそも、狩りをして生活してたし」
「そう? それなら、お手並み拝見」
そうして歩いていると現れた。
体長50センチほどの、ドーベルマンのような魔獣だ。
「ハク、まずは俺が戦う。相手の動きを見てなさい」
「ワフッ!」
俺は大剣を構えて距離を詰める。
その時、親父さんの言葉が頭をよぎる。
『お前の甘さが生き物を苦しませるのだ。出来るだけ一瞬で苦しまずに殺れ』
「ウォォォォ!!!!」
「グギャヒャン!!」
大剣を横薙ぎに払うと、魔獣がただの肉塊と化す。
気持ち悪さを感じながらも、続けて大剣を振るう。
「グギャン!!」
すぐに魔獣は全滅した。
若干キツイが、耐えられないほどじゃない。
これも、ステータスのおかげだろう。
「大丈夫そうね」
「まあ、どうにか。じゃあ、次はハクがやるか?」
「キャン!キャン!」
「やる気十分だな。よし、任せよう」
歩いていると、3匹のハウンドドッグが現れる。
「 油断するなよ? 囲まれないように、一匹ずつ確実に仕留めろ」
「グルァ!」
ハクは駆けだし、左端の1匹に狙いを定めた。
そのまますれ違いざまに、右爪を顔に引っ掛けて走り抜ける。
ハウンドドッグは左半身を削られ絶命した。
「ガルルッ!」
ハクが振り返ると、二匹が迫ってきていた。
その瞬間、ハクが氷のブレスを吐く。
賢いことに、足元に向かって……当然、二匹は滑って転倒した。
その隙に喉元に食らいつき、二匹を絶命させる。
「アオーン!」
「よしよし、上手いぞ。それに、あの戦法は賢かったな」
「キャン!」
「褒められて嬉しそうね。やっぱり賢いのね、あの場面で的確な判断をしたし。これは鍛えれば相当強くなるわ」
「クゥン?」
「良かったなハク、強くなるってさ」
「キャン!」
ハウンドドッグは食用じゃないし、素材もほとんど売れないらしい。
なので、そのまま放置しておく。
しばらく歩くと、不自然な扉を発見した。
まるでどこでもド○のように、扉だけがぽつんと立っていた。
「あれが宝の部屋よ。何もないこともあるし、魔物がいる場合もあるわ。一応、開ける時は慎重にね」
「わかった。とりあえず、開けてみるか」
意を決して扉を開けてみると、六畳くらいの部屋がある。
そこには宝箱が置いてあった。
「この階層なら罠はないから安心して良いわ」
「では、開いてみよう」
その中には巻物が置いてあった。
開いてみると、ヒールという文字が書いてある。
「それはスクロールと言われるもので、魔法が込められているわ。ダンジョンでしか手に入らないもので、ヒールには疲れや傷を癒す効果があるわ。ただ低いランクだから、大した効果はないけれど」
「なるほど……つまり売ることも?」
「ええ、そうよ。必要ないものは売ると良いわ。逆に、必要なスクロールを買ったり。魔法を使えないパーティーとかは、よく買ったりしてるわ。魔法しか効かない魔物や魔獣もいるし」
「うげっ……俺の天敵だな」
「そうね、地下五階以降から少しずつ出てくるわ。今回は私がいるし、ハクが魔法を使えるから平気だけど。あとは、魔法の武器を買うと良いかも」
「ふむふむ……ありがとうございます」
俺は先輩であるカルラの助言をメモしつつ、ダンジョン内を進んでいく。
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