第14話 『NB・NP』

「到着ごぶ」


 100匹ほどのゴブリンを引き連れ、先頭を歩くゴブピー先生が洞窟の前で立ち止まる。


 『はじまりの洞窟』過去、人間の冒険者が最初に訪れる洞窟だった。


 それでも難易度はそれほど低くはなく、ダンジョンの主である『エンペラースライム』はレベル10以下の冒険者の攻撃を一切寄せ付けない『エンペラータイム』という特殊技を持っている。


「それでは班ごとに突入してもらうゴブが、注意点があるゴブ。一つ、『必ず3匹1組で行動するゴブ』危ないからゴブ。二つ、『オークに遭遇したらとにかく逃げる』。最後に一番重要な『他種族を犯さないゴブ』たまにムラムラくるゴブ。だってゴブリンだもの。でも、家に帰るまでが修学旅行ゴブよ!」


「先生~オークから逃げれなかった場合はどうしますか~?」

 ※オークは好戦的な亜人のモンスター。身長は人間と同じくらいあり、筋肉質な緑色の体を持つ。顔は醜く、ブタのような鼻と牙が特徴。


 ひとりの生徒が質問する。


「その時はゴブリン奥義『不屈の魂』で逃げきるゴブ。先生が見本を見せるゴブ」


 ゴブピー先生が生徒の前で勇ましく構える。


 ……コブ。


 全生徒が固唾を飲んで見守る。


「ご……ゴブゴブゴブごめんゴブ――!!ずびません!ずびまぜんごぶ――!!ゴベコブゴハブゥ――!!」


 ゴブピー先生は土下座で頭を地面に打ち付けながら泣き叫んだ!誰も情けないとか惨めなどと思わない。その命の叫びに生徒達は感銘し自然と拍手が沸き起こる。


 パチパチ……パチパチパチ。


「先生かっこいい!素敵ゴブ!」


 賛辞の嵐が吹き荒れる!


「ふぅ~。大事なのは『命』ゴブ!」


 服についた砂を叩きながらゴブピー先生は言った。そこにはやり遂げた男の顔がそこにはあった。


「全然、理解できないわ!」


 ゴブリンに変装したロミが叫ぶ!


「こらロミ!語尾は『コブ』をつけなきゃだめコブよ」


 二コがロミに言う。


「ご、ごめんゴフ……。二コ、班分けどうするごぶ?」


「ココは天外と同じ班がいい……ゴプ」


 ココが俺の腕に手を回す。


 ……あ、あれ?すごい柔らかいものが俺の腕に当たっているような?


「ココ、あの……いつもの胸につけてるのは?」


「ん?『デジブラ』のこと?つけてないよ」


 つけてない!?と、いうことは布を巻いただけ!?


 俺がココが手を回した右腕に全神経を集中していると、二コが班を決定する。


「仕方ないわね。じゃあ、ロミ、ココ、天外で行って。戦闘能力はロミが一番だし大丈夫でしょう」

 二コの顔が残念そうに見える。


 俺は先刻のキスを思い出す。


「いいなー!ロミ!私も天外がよかった~」


 ミクが残念そうにその場に座り込む。


 ん?気のせいか、スカートの中……んっ?


「やったぜ!天外と一緒だ!」


 ロミが余っている左腕に手を回す!


 こっちも張りがあって柔らかい――!!


 両腕が幸せに挟まれて大変だ!


「ゴプゥ?見ない顔ゴプ?」


 ゴブナガ先生が俺達の前に歩いてきた!


「最近、仲間になったゴブよ。せ・ん・せ・い」


 ロニが色っぽくゴブリン語を話す。


「!!?ゴフ――!!ハッ!先生が生徒に欲情してはならん!!早く班分けして洞窟に入りなさい!」


 ゴブナガ先生は前屈みになりながら去っていった。


「ありがとうロニ。助かったわ」


 二コが安堵の溜め息を漏らす。


「気づかれる前に洞窟に入りましょう。目的は『ゴブリンの告白』の調査よ」


 ロニが二コを押しながら洞窟へ入っていった。


「あ!待ってよ~。あ、待ってコブ~」


 ミクが急いで立ち上がるとスカートが捲れ上がり、かわいいお尻が丸見えになる!


「え!?あれ?何も履いてない!?」


 驚愕の俺に両腕におっぱいを押しつけているロミとココが衝撃の事実を告げる。


「『生命維持パンツ』か?洞窟内だと『排泄処理』できないから外してきたぞ」


「この前、ミクの『野外排泄方法』見た。問題ない」


 問題……あるよ――!!


 <つづく>


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