ネコとウサギとイヌ 10

「ただいま~」

俺、帰宅。


「「「おかえり~」」」

子どもたちと妻の声。


トテトテトテトテ

子どもたちは出迎えに来てくれる。


「「えっ!? 何それ??」」

琴音と心咲の視線が俺の抱える何かに注がれる。


「どうしたの?」

伊織も異変を感じたらしい。

声をかけてきた。


「じゃ~ん!」

俺は『リル』を見せる。


「「おぉぉぉぉ~!!」」

「えぇぇぇ!!」

子どもの喜ぶ声と妻の驚きの声が響く。


『リル』

フェンリルの子どもです。

そのまんまな名前をつけた。

保護して、回復したので我が家に連れてきた。

もちろん、野生のままでは危険なのでしっかり教育を施した。

元々、知能の高いモンスターなので、多少レベルを上げてやれば、しっかり言うことをきくようになった。


「しばらくの間、預かることになったんだ。

『リル』っていう名前だよ。

ちゃんとお世話できるかい?」


「「できる!」」


「しばらくの間、預かるだけだから、返すのは忘れないでね。いい?」


「「わかった!」」


子どもたちは大喜びだ。

さっそくリルにじゃれついている。

リルも楽しそうに遊んでいる。


散々遊んで、遊び疲れて、2人と1匹は一緒に眠ってしまった。




「も~、こういうことは事前に言ってよね。」

伊織は不満顔だ。


「ごめん。急きょ預かることになってね。」


「それでもラインぐらい送れたでしょ。」


「いや~、ごめんね。」


「は~~、

それで、いつまで預かるの?」

幸せそうに眠る子どもたちを見て諦めたみたい。


「実は期日は決まってないんだよね。

あの子の親が体調悪いみたいで、手が離せないから預かってほしいってことなんだ。

だから、まだ先行き不透明な感じ。」


「2人ともすごく気に入ったみたいだから、返す時が不安だわ。」


「まぁ、その時は新しく飼わないといけないかも。

でもペットのお世話するのは良い経験になるんじゃないかな。」


「まずはリルを飼う上でのルールを決めないとね。

散歩やエサとかの世話を誰がいつやるのか、とかね。」


「そうだね。

とりあえず明日の朝は俺が散歩に連れて行くよ。」


「お願いね。」



そして翌朝。

散歩に出発した。

家を出るとすぐに魔王城に転移。


リルの訓練とレベルアップを兼ねて、モンスターと戦わせる。

見た目は子犬だが、既にオークを倒せるぐらいには強い。


リルには俺の家族の護衛の役割もしてもらおうと思っている。

とにかくレベルは高い方が良いからね。


小一時間のトレーニングを終えて帰宅。



なお、次の日からは朝の散歩は子どもも一緒に行くことになった。

もちろん、魔王城でのトレーニングは無しだ。

ゆっくり近所をふらふら歩くだけ。


夜は俺1人で散歩という名のトレーニングをすることになった。


みんなリルにメロメロです。

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