ネコとウサギとイヌ 8

「いくぞ!」

俺の掛け声で選手たちがグラウンドに集まる。

試合開始だ!


ネコネコタイガース対ネコネコライオンズ


ネコなのか?

トラなのか?

ライオンなのか?

このチーム名決めたの誰だよ。



ネコたちは暴言ではなく、

ボールとバットで雌雄を決することを選んだ。

どこからともなくGReee○Nの曲も聴こえる。


青春だな。


・・・もちろん、ネコたちは下手だ。

身体能力は人間より高いけど、道具使うの苦手だし。

ちょっと練習しただけで上手くなれば誰も苦労しないよ。


ド下手な草野球だが、やってる本人たちは盛り上がっている。



そして試合は終わった。

ネコネコライオンズの勝利だった。

喜び抱き合うネコたち。

胴上げも高い。


負けて泣き崩れるネコたち。

泣きながら砂を集めるネコたち。


・・・教えたの誰だよ?

誰が甲子園の伝統行事を仕込んだんだ?



そして、試合を終えた時、

舎弟ネコはルーキーネコに進化していた。


これでもう口汚い罵り合いも無くなるだろう。

今後は爽やかな汗が流れるはずだ。




ようやく陳情書を解決してひと息つく俺に悪魔が忍び寄る。。。

・・・魔王に忍び寄る悪魔って。


「魔王様、次です。」


「俺に休みってないの!?」


「魔王様は草野球を楽しんだだけです。

言うほどの仕事はしていません。」


「うっ!」

リノアには優しさが足りてないと思う。


「大丈夫です。

次は簡単です。

ただの迷い犬の保護です。」


そう言いながら陳情書を差し出す。


「なになに、

『村に犬が迷い込んだ。助けてくれ。』」


短いし、内容がよくわからん。

もう少し丁寧に陳情書は書いてもらいたいな。


「場所はどこだ?」


「コボルトの村です。」


コボルト。

犬の獣人だ。

エリーも獣人だが、もっと犬寄りだ。

二足歩行する犬って感じだな。

顔もほぼ犬だし。


犬の村に迷い犬。

なんのこっちゃ?


「しゃーない。行くか。」



ということで、コボルトの村の前に移動した。

村はしんと静まりかえっていた。


「どういうことだ?」


コボルトがいる気配がない。


「・・・あっち。」

メキラが村の外を指差す。


メキラが示した方向に歩いていくとコボルトたちがいた。

密集して、肩を寄せ合っている。

コボルト団子だな。


俺が、

「何があった?」

と尋ねると。


「「「ヒィィィ~~」」」

悲鳴があがった。


「魔王様、コボルトたちを恐がらせてどうするんですか。」

エリーから注意を受ける。


「このまま口封じしますか?」

「「「ヒィィィ~~~」」」

リノアは悪質だ。


「も~~、リノアさん、ダメですよ!

私が話を聞きます。

魔王様とリノアさんは離れていてください!」


エリーに叱られた。

俺は悪いことはしてないと思う。

普通に質問しただけだし。

悪のりしたのはリノアだけだと思います。

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