女の子の気持ちになるのです(一話完結型)

野口マッハ剛(ごう)

第1話 あたし、わたあめ

 チラチラ見ている。あまりにもまぶしいからチラチラ見ている。あたしは中学生になって春の陽気に眠気を感じていた。そんなところにあなたが現れる。うっ、まぶしい。直視できない。


 あたし、わたあめみたいだな。いつもふわふわしている自覚はある。直せよ、そういうところ。でも、そういうあたしが良いかな。なんつって。


 さて、話を戻そう。太陽みたいにまぶしい、直視できない彼はクラスのリーダー的存在。名前はケンタと言って、バリバリイケメン。で、あたしはわたあめ。あだ名が。もはや名前ですらない。


 そんなケンタと職員室に書類を持って行く仕事なのであたしはドキドキしている。あたしがこんなにもドキドキしているのをケンタは知らねーだろー。あたしはチラッとケンタの横顔を見るつもりが向こうもあたしの顔を見ている。こ、これは。


「どうしたのよ?」


「わたあめさんって、本当にわたあめみたいだよね?」


 ほめてないだろー。あたし、わたあめと言うあだ名があるけど、ちゃんと本名があるー。でも、そんなことはケンタに言えない。だって、ケンタの笑顔があたしのハートをつかんでブンブンとされているような気がするから。


「あたしの名前は知ってる?」


 知るわけないだろー。


「みさきさん、だよね?」


 し、知ってるー。


 ヤバい、ドキドキがヤバいー。


「みさきさんって、本当にわたあめみたい」


 ボッ!

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