とある君の未来
藤林 光太郎
第1話 五十嵐 マサヤ 1
「あー、つまんな」
僕は(五十嵐 マサヤ 16歳)夜7時過ぎ塾の
窓から向かいに建っている雑居ビルの暗くなった窓を眺めながらそう小さく独り言を吐く
僕の両親は名門大学に通わせる為に僕の尻を叩く様に毎日、毎日、勉強、勉強ってうるさくてこの塾だって無理矢理通わされてるようなものだ
高校の同級生は、もう夏休みだっていうのに
「えー、今日はここまで」
そう言って数学の講師は教室を出ていくと
ほぼ一斉に他の塾生今日の復習を始める
「勉強しかする事ねぇのかよ」ってコイツらの椅子を蹴飛ばしたくなる衝動に駆られるが
僕もその中の人。
だから、僕は小さな反抗としてそこに群れるのではなく足早に帰る事にした。
ビュンビュンっと、ヘッドライトの明かりと
エンジン音が過ぎ去っては現れる中
歩道橋から月を眺めた
月の近くには、全然詳しくないけど
多分、オリオン座?らしき星座が煌めいていた。
スマホの通知音が鳴りメッセージがフワッと
画面上に映し出される
それは見ず知らずの名前(ミキ)
文章の内容は
『後ろ向いて』
しょーもないイタズラと思いながら
後ろを振り向くと僕と同じくらいの歳だろうか見た目はいかにもガリ勉という感じで
度がきつそうなメガネをかけた髪型がショートボブの少女が立っていた。異性のタイプとしては全く好みじゃない。(5〜8歳くらいの歳上の大人の女性が好み)
普通は驚くとこなのだろうがこんな時にはいかにも驚いてない
至って冷静な素振りを見せてしまう
内心は、物凄く驚いている。
「君は誰?」
同じくらいの歳だろうから敬語はやめてタメ口にした
「ひどい。ミキ!」
ミキはプクッと頬を膨らませる
ひどい?意味が分からない
何故僕の連絡先を知っているのか僕には異性の番号はお母さんと妹だけだ
そのミキ?がガチャガチャとリュックに付いたキーホルダーの音をさせながら
リュックのファスナーを開けてかざかざとほじくり取り出したのは1枚の写真だった
見たことないがどこにでもありそうな
公園の風景をバックに
大人のミキと僕が赤ちゃんを大事そうにして抱いて微笑む写真だった。
「この写真は?」
ミキはウフフと先程のムッとした表情とは違って恥ずかしがる素振りを見せる
「マサヤと私の子供。でね、マサヤに未来から会いに来たの」
と至って真面目に言うミキ
こんな非現実をしかも未来から来たなんてSFじゃないかと心の中で僕は嘲笑した。
「理由は?」
「死んじゃうから」
死ぬ?バカバカしい
だが、『未来から来た』というワードは
毎日勉強でつまらないと思っていた僕にとっては暇潰しになりえそうな刺激に富んでいた
ミキのこの信じられない話しに乗るもいいかもしれない。
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