第63話 ライオス追放令

次の日、俺達は王宮の謁見の間へとやってきていた。


謁見の間にて真実を国王に伝えたのだ。


国王が驚いた様子で俺を見つめていた。


「なんだと、それは本当なのか?」


「はい、魔王クレスタは討伐はすでに完了しているのです。」


「馬鹿な、このゼスタニア王国には魔王軍が何度も攻勢を掛けてきているぞ。」


「ライオス達の自作自演です。魔王軍の壊滅は俺やミリーも確認しています。」


「今この世界は魔王クレスタの大攻勢によって、滅亡の瀬戸際にあるのではないのか。」


「この世界は確かに滅亡の瀬戸際にあります。ですのがそれを行っているのは魔王クレスタではありません。勇者ライオスなのです。ライオス達がこの世界を蹂躙し滅ぼそうとしているのです。」


「そうだな、ゴード。」


「はい、すべてクリード様のいう通りです。魔王クレスタはすでに討伐されています。ライオスは国王様をだまし討ちにして、この王国を乗っ取ろうとしていたのです。」


「なんという事だ!!ライオスめ!!皆の思いを踏みにじりおって!!」


「直ちにライオスの追放令を出せ!!今後ライオス及びライオス軍に行っていた援助も全て停止せよ。ライオスを大罪人として布告するのだ。」


「はっ。」


そう言うと兵士は謁見の間を出ていった。


「クリード殿、よく知らせてくれた。このバルドス心より感謝いたします。」


「いえ大した事はしていません。それに証拠をつかむためとはいえ国王様に身分を隠していたわけですし。」


「何を申される。全ては王国を助けようとしてくれての事、それも含めて余はクリード殿に感謝してもしたりませんぞ。民達も救われました。貴殿こそ真の英雄ですぞ。」


「ありがとうございます。」


「王国内にいるライオス軍の兵士達は今どうなっていますか?」


「我が王国軍の兵士達が今捕縛を進めている所です。ライオス捕縛命令を耳にして大混乱しておるようです。」


「それはなによりですね。」


「ところでクリード殿、ひとつ別の話をさせてもらってよいか?」


「はいなんでしょうか?」


「ルーテシアを貰ってやってはくれぬか。」


「えっ。」


「ルーテシアはクリード殿の事を大層好いておってな。余も今回の事でクリード殿の優秀さを改めて理解しました。やはりルーテシアの相手はクリード殿しかおらぬと。」


ルーテシアが慌てて会話に入ってきた。


「お、お父様。なんで急にそんな話になるの。」


「ルーテシアがクリード殿を好いておるから、こうしてクリード殿に話をしているんじゃないか。」


ルーテシアが慌てた様子で言った。


「そういう事じゃなくて、今はそんな話をしている場合じゃないでしょって事!!」


「国王様、状況が落ち着きましたら改めてお話を伺いますので。」


「そうか、分かった。」


そして俺達は謁見の間を後にした。


謁見の間のからルーテシアの部屋へと向かっていた。


「もうお父様ったら。」


「ははっ。」


「ねえクリード、これでライオスの計画を潰す事ができたわけだよね。」


「ああ、これで王国を乗っ取るっていうライオス達の計画は破綻した。」


「ライオス達はどう出てくるかしら。」


「そうだな少しの間は動けないと思うけど。」


すると後ろから大きな声が聞こえてきた。


「おい!!頼むから地下牢には入れないでくれ!!」


「立ち止まるんじゃない!!とっとと歩けと言っているだろう!!」


手錠をはめられたゴードが衛兵に引きずられてきたのだった。


「頼むから地下牢には入れないでくれ。このゴードをこのまま解放してくれ。なっ!!」


「馬鹿を言うなゴード。貴様は王国を2度も襲撃しようとしたんだぞ。解放なんかするわけないだろうが、国王様が貴様の処罰を決めるまで地下牢でおとなしくしていろ。」


「嫌だー!!地下牢なんて嫌だ!!」


「こら暴れるんじゃない。」


ゴードがじたばたと暴れ出した。


「地下牢に入れるんだったら、ここで大暴れしてやる!!」


「ゴード、大人しくしろ!!」


はあーゴードの奴はおとなしく地下牢にすら入らないのか全く。


俺は初級魔法のスパークをゴードに向けて唱えた。


「閃光よここに現れろ!!スパーク!!」


ゴードに強力な電撃が走ったのだった。


「うぎゃああああ・・・!!」


ゴードは情けないうめき声をあげて、床に倒れたのだった。


「ほらこれで運べるだろう。」


「はい、クリード様ありがとうございます。」


そしてゴードはのびたじょうたいで衛兵達に連れて行かれたのだった。


「全く困った奴だな、あの野郎も。」


「クリード、この後はどうするの?」


「実は行きたい所があるんだが。」


「いいよ、もちろん。」


俺達は王都内にある大きな屋敷の前までやってきた。


「クリード、ここは?」


「ライオス達が使っていた屋敷だよ。」


すると屋敷の前で見張りに立っていた王国軍の兵士達が俺に声を掛けてきた。


「おおこれは、クリード様それに姫様も。どうかされましたか?」


「すまないが、中を見せてもらえないか。」


「それは構いませんがまだ中の捜索が終わっていません。まだライオス軍の残党が潜んでいる可能性もあります。」


「それなら大丈夫よ、クリードが強いのはあなた達も知っているでしょう。」


「それもそうですね。ではどうぞ。」


俺達はライオス達の屋敷へと入っていった。


俺達は屋敷の中を見て回ったがとくにおかしな物はなかった。


「ダンジョン探知。」


俺はスキルのダンジョン探知も使って調べたが、隠し部屋のようなものもないようだった。


「特に何もないようだな。となるとどこかに隠したか。」


「それでクリードここで何を調べるの?」


「ああもういいよ、ありがとう。用事は済んだから王宮に戻ろうか。」


「そうなの、分かった。」


俺達は一旦王宮に戻る事にした。









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