第8話 ラストダンジョンからの脱出(3)

そして俺達は順調に地下95階層まで上がってきたのだった。


俺達はジャイアントオークと戦闘を行っていた。


俺は爆発系の超級魔法であるマグナ・エクスプロードの詠唱を始めた。


「大地を振るわすほどの大きな煌めきよ、この地をその輝きで照らし尽くせ!!マグナ・エクスプロード!!」


すると俺の周囲の地面が揺れ出して、あちこちから爆発が起きながらその規模を大きくしていった。そして最後に特大の爆発が起こり、すさまじい爆発で周囲を光で照らし尽くしたのだった。


俺の唱えたマグナ・エクスプロードによってジャイアントオークの中心で強力な大爆発が発生してそれは激しく炸裂し続けたのだった。


魔法の発動が終わるとジャイアントオーク3匹がその場に倒れたのだった。


俺達はジャイアントオークを倒したのだった。


「すごいよ、クリード。私達二人しかいないのにすごくはやく進んでる。クリードがとんでもない強さに魔物も圧倒されてるよ。」


ミリーは俺を褒めてくれたのだった。


「ああ、ありがとうミリー。でもミリーが後方で支援魔法を使ってくれてるのも大きいぞ。」


「うん。」


「ライオス達が最下層に向けて進んだ時よりも遥かにスムーズだと思うわ。

クリードが強くて本当に頼もしいわ。」


ミリーはすごく褒めてくれたのだった。


「ああ、ありがとう。」


「ところでクリード、さっきのジャイアントオークでこの地下95階層の魔物は最後みたいだけど、ここでどうするの?」


「うんそうだね、それじゃあ水晶の間にある宝箱の前に行こう。」


「うん。」


地下95階層の中にある部屋の一つである水晶の間に俺達は移動したのだった。


そして俺達は開けられた宝箱の前にやってきたのだった。


「ここでリバイブの魔法を使おうと思ってね。」


「リバイブはダンジョン内を仕掛けを元に戻す魔法だよね。仕掛けを間違えて動かしたり壊したりしてしまった時に使う魔法。」


「そう。」


「でもリバイブを宝箱に使ってどうなるっていうの?」


「この状態じゃリバイブを使っても意味がないんだよ。別に仕掛けを間違えたわけでも壊してしまった訳でもないからね。だから宝箱をこうするんだ。」


俺は目の前の宝箱を少し強く殴りつけたのだった。


宝箱はそれほど丈夫な作りではなかったので、一発殴っただけで宝箱は粉々になってしまった。


ミリーは理由が分からずに俺に尋ねたのだった。


「クリード、宝箱を壊してどうするの?」


「リバイブの魔法原理はその対象物の時間を大幅に遡って元の状態に戻す魔法の原理なんだ。そこを利用するんだ。」


俺はリバイブの呪文を唱えた。


「それじゃあさっそくやってみるよ。失われし形をそのあるべき姿に戻せ!リバイブ!!」


俺がリバイブを唱えると粉々の宝箱が黄色の光に包まれたのだった。


しばらくして宝箱を包んでいた黄色の光が消えたのだった。


すると粉々になっていた宝箱が真新しい宝箱へと姿を変えたのだった。


「リバイブの発動が終わったから、この宝箱は相当前の状態に戻ったというわけなんだ。」


「うんそれは分かったけど、でもそれがなんだっていうの?」


「この宝箱には何が入ってたか覚えてる?」


ミリーが理解したように俺に言った。


「そうか、リアーの羽ね!!」


俺は目の前の宝箱を開けたのだった。


そして宝箱の中に入っていたアイテムを取り出したのだった。


「そう、リアーの羽だ。」


俺は復元された宝箱からリアーの羽を手に入れたのだった。


「すごい、クリード!!こんな方法でリアーの羽を入手しちゃうなんて。」


「これで僕達もここから脱出できるよ。」


「すごいすごいよ、こんな方法を思いついちゃうなんて、さすがクリード。」


「そうでもないよ、ミリー。」


「そんな事ないよ、とってもすごいよ。こんなの私じゃ絶対に考えつかないよ!!クリードすごいよ!!」


ミリーは俺を褒めてくれたのだった。


「ありがとう、ミリー。このリアーの羽ではやくここから脱出しよう。」


するとミリーはこう言ってきたのだった。


「ねえクリード、ここから脱出しなきゃダメかな?」


「ミリー、いきなり何を言いだすんだい。」


するとミリーは少し恥ずかしそうな顔をしながら俺に言った。


「クリード、突然こんな事を言ってごめんなさい。私クリードと同じパーティーを組んで改めて分かったんだ。私ずっと前からクリード、あなたの事が好きだったんだと思うの。」


ミリーの突然の告白に俺は戸惑わずにはいられなかった。


「ええっ?」


ミリーは顔を赤くしながら告白を続けてくれた。


「クリードに会った時から私はあなたを好きになっていたんだと思う。」


「ミ、ミリー?」


「クリード、私はあなたの事が好きだった。だからあなたと少しでも一緒にいたくてライオスのパーティーに推薦したんだ。それなのにあなたには本当に辛い思いをさせてしまって。本当にごめんなさい。」


ミリーの告白に驚きつつも俺はミリーに冷静に答えたのだった。


「それはミリーの責任ではないよ。ミリーはいつも俺に対等に接してくれただろう。それはライオスの責任であってミリーの責任では決してないから安心して。」


「クリードは優しいね、ありがとう。」


「実際にその通りだよ。ミリーは全く悪くない。」


「クリード私はあなたが大好きです。だからねっ?ここでずっと一緒に暮らしていかない。クリードと一緒だったらここにいるのも悪くないかなって思っちゃうんだ。」


いつも明るい笑顔で微笑んでくれるミリーにしてはらしくない言葉であった。


俺はミリーに尋ねた。


「ミリー、もしかして外に出る事を恐れているのかい?」


「クリードには分かっちゃうんだね。うん実はそうなんだ。私さ怖気づいちゃったんだ。ここから外に出て現実を確認するのが怖くなってしまったの。魔王クレスタを倒せば世界に平穏に戻って私も国のみんなも平凡な毎日を過ごしていけるようになると思ってたの。みんなが安心して暮らしていける日々がやってくると思っていたの、そう信じていたの、それなのに。」


ミリーは泣き出しそうな顔で俺に抱きついてきたのだった。


俺はミリーを強く抱きしめたのだった。


「大丈夫、俺はミリーが心からそう願ってたのは知ってるし、ミリーが優しい人間だとよく知ってる。大丈夫だよミリー俺がついてるから安心して。ミリーには伝説の英雄がついてるんだから。」


「クリード!!」


ミリーは俺に抱き着いてしばらく離れなかった。


しばらくしてようやくミリーに笑顔が戻ったのだった。


「クリード、ありがとうね。」


「ああ。」


ミリーが顔を赤くしながら俺に言った。


「クリードとってもかっこよかったよ。」


「そうかな?」


ミリーは俺から離れると涙をぬぐいながら俺に微笑んだ。


「うん、クリードとってもかっこよかった。それにさっきのは間違いなく私の本心だから絶対に忘れないでね。」


そうだった、ミリーを安心させなきゃと思ってつい抱きしめちゃったんだ。


俺は恥ずかしく感じながらミリーに言った。


「うん、それじゃあリアーの羽を使って外に出ようか。」


「そうだね、クリード。」


そして俺はリアーの羽を上に投げたのだった。


そしてリアーの羽の効果で俺達はラストダンジョンから脱出したのだった。






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