桃色武装

大和成生

第1話 女無双

 女の子は女らしく。


 今でこそジェンダー平等などと言われる世の中になってきたが、昔は女は女らしく男は男らしくと育てられるのが当たり前だった。


 何故ならそう言って無理矢理にでも矯正していかなければ、女は強くなりすぎるからだ。只でさえ強いのに、野放図に育ち上がればとんでもないことになる。

 反対に男の子は男らしくしろ、男の子でしょう、男を見せろ、などと鼓舞してやらねばなかなか強くはなれない。

 自然界においても、原始の生き物ほど雌の方が圧倒的に強く力と支配権を持っている。生命を直接生み出す存在として強くなければならないからだ。


 自然の摂理に逆らって、女を弱く、男を強く育てるのはバランスを取るためと、女の強さに恐れを抱いた男たちの策略なのかも知れない。

 宗教 常識 社会的立場、ありとあらゆるものを駆使し女の力を削ごうと画策してきた男たち。女の強さに対するハンデとして、体力 筋力 身体能力などを与えられているにも関わらず。


 そうまでされてもやはり女は強い。

 いざとなれば男では太刀打ちできない力をその身体と心に遺伝子レベルで秘めている。


 だからこそ女の敵は男ではない。女が常に闘っているのは女だ。目に見えるもの目に見えないものの差はあれど、女社会は戦場だ、例えどんなに幼かろうとも。

 数々の闘いに打ち勝つために女は武装する。

 年を追うごとにより重く、より硬く、より強固に。そして様々な武器を手に入れる。


 闘いをより有利に進めていくために。

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