空想ハヅル読本

羽弦トリス

第1話先輩の威厳

僕は20代前半、福祉施設に勤務していた。

厳しい先輩の下、福祉について学んだ。ある、4月勤務2年目で後輩が4人配属された。

僕は直ぐに笑いのネタになるので意識して厳しく接し、夜勤を練習するために女の子が1人僕についた。僕は指導役。

一晩中、僕は厳しい態度でその後輩の指導をしていた。

新人は、僕は怖い先輩と印象付ける為に!

夜勤もあと2時間で終わろうとする時に、後輩と利用者の胃ろうの準備をしていた時だ。

「◯◯君、先ずはこの袋を温めて、後は茶碗を洗って!」

「はいっ!」

僕は茶碗を拭く布巾を床に落とした。

僕は拾おうとして、しゃがんだ。


ブリッ!


ビクッ。


後輩にも聞こえたであろう、大きな音色の屁をこいてしまった。

しかも、自分の屁に驚いた。

後輩は、大笑いした。

「ご、ごめん」

「先輩って、面白い人ですね」

「ば、バレた?」

「はいっ!」

この後から、厳しい先輩ではなく、面白い先輩に成ってしまった。

週4日は、僕と同期の男が金を出し、後輩を飲みに誘った。

ある日、風邪を引いて職場を休んだ時、同じアパートに住む後輩の女の子が、お粥を持って来ましょうか?と、言った。

僕は恋が芽生えると思ったが、聴けばその子男と半同棲。

脈なしなので、断ったら肺炎になり、入院した。

厳しい先輩より、面白くて飲みに連れて行く先輩の方が人気がある。

新人が目標としている先輩は?と、施設長がアンケートを取ったら、半分が僕で、半分は同期だった。

しかし、仕事の出来る後輩は同期、仕事出来ない後輩は僕だったと言う。

おいおい、オレも仕事出来ないと言うのか?

僕は3年後、この施設を退職した。

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