JKな私とショタ物語
霜花 桔梗
第1話 御神体のショタ現る
私は退屈な高校に通っていた。この進学校なる場所は勉強だけできればいい。
この高校は勉強に真面目に取り組めば内申も上がる。私はあくびをしながら朝のショートホームルームが始まる。
そして、担任の講義で『これからの時代は格差を縮める為に勉強して欲しい、それは好奇心もって生きて欲しいからだ』
あー高校は進学校である、なのでクラスの誰もが冷めた目で見ていた。私も冷めていたが、少し心に刺さるモノを感じてメモを取る事にした。
それから下校途中に駅から自宅に向かう途中の事であった。担任の言っていた『好奇心』『好奇心』と呟いていた。
すると、小さな神社を見つける。松成神社?こんなところに神社はあったかな?私は『好奇心』と言う言葉に誘われて境内に入る。せっかくだ、お参りでもするか。
えーと、願い、願い、私の人生は親が決めてきた。高校の進路も進学校にしたのは親の指示だ。
『願いなんて、無いじゃない!!!』
私は賽銭箱を蹴りつける。
「イテテテ」
蹴った賽銭箱からは藍色の着物に黒のシルクハットをしたショタが現れる。
「あんた誰?私は詩香、浅井詩香だ」
「僕の名前は太太、この松成神社の御神体ですねん」
へー神社の御神体は賽銭箱から出てくるのか。大体、藍色の着物に黒のシルクハットだ?
胡散臭い。
「飴やるから、帰れ」
「冷たいな、もっと、僕に敬意を持つべきですねん。それにせっかく外の世界に出られたのだ。僕が君の友達になるのですねん」
「……」
友達か……私の周囲は勉強の事ばかり、例えメッセージアプリで繋がっていても友達と呼べる存在ではない。
「うむうむ、迷っているね、僕が側にいれば人間の友達もできるのですねん」
怪しい、でも、友達が欲しい。
「よし!お持ち帰りで」
「そうこなくちゃ」
そして、家に太太を連れて帰ると。母親が帰ってきていた。それは仕事が朝番であったからだ。
しかし、世の中色々な仕事がある。母親は管理職でも時間が不規則だ。
「ま、太太でないですか」
母親は驚いた様子で太太を見ている。
「母さん知っているの?」
「子供の頃に松成神社まで行って独りで遊んでいると突然現れて友達になったものよ」
ダウト!神社で子供の独り遊びなどありえない。きっと、太太に妖術で騙されたに違いない。
「母さん、やっぱ、このショタ、捨ててくるね」
しかし、母親は太太と意気投合している。これは本当に友達だったのか?
結果、私の部屋に泊まり込む事となった。
朝、起きると太太はイビキをかいて爆睡していた。何かムカつく。この部屋は私のお城なのに……。
私は布団をはがすと太太は目覚める。
「起きたかショタ」
「君の行動には悪意が無いから許すけど、僕はまだ寝ていたいですねん」
ここで喧嘩になってもつまらないと心を静め、学校に行く支度を始める。太太は黒のシルクハットをかぶり、完全に目覚めた様子だ。
そして、私がスマホを手に取った瞬間である。
「その機械、僕の仮の住まいに丁度いいですねん」
「スマホが?」
「はいですねん」
すると、太太はスマホの画面に吸い込まれる。
太太は携帯会社の某サービスの様にスマホの画面を歩き始める。
「どうですねん、これで学校に一緒に行けるですねん」
あ……。
深く考えるのは止そう。私は頭をカリカリして心を落ち着かせる。
支度が終わると、仕方ないと思いながらも駅まで歩き始める。しかし、駅の途中にある、太太を松成神社に捨てるか迷うほどだ。
『ニンゲンのトモダチ』
太太の言った。その一言によって思い留まるのであった。その後、高校に着くと何やら騒がしい。
私はメッセージ交換アプリで色々、聞いてみる。
ぬぬぬぬ。
連続、突然死事件が起きているらしい。
怖い怖い、速く教室に向かおう。
そして、朝からカリカリと勉強の日々であった。休み時間にスマホを見ると太太は寝ている。
こんなので『ニンゲンのトモダチ』ができるのであろうか?
私はスマホ画面を突っついて太太を起こす。
「何ですねん?」
「イヤ暇だから」
「僕のセンサーではこの学校は呪われているですねん」
まー寝ていたくせに生意気な。私は更にスマホの画面を突っつく。しかし、太太は寝てしまう。お昼だけが楽しみの時間が過ぎて行く。
さて、私の高校は学食が無く仕事が忙しい両親にお弁当が頼めないので、昼ご飯を買いに高校の近くにあるコンビニに行くのが日課である。何故か太太がスマホから外に出ている。仕方がないと一緒に歩いていると。
コンビニ内でクラスメイトの美紀に会う。
「こ、こ、こんにちは」
この女子は苦手なんだよな。
「美紀さんもお弁当を買いに?」
「はい、ファミレスのバイトが忙しくて」
進学校に通いながら、バイト?
私は本当に勉強との両立が出来るか不安になり、進路を訪ねてみることにした。
「私ね、薬剤師に成りたいの、なんか、人の役に立つって感じで」
家が貧しいのか?それでいてバイトをしながら薬学部?通りで苦手な訳だ。
「ビビビビーム、友達発見!」
太太が突然大声を上げる。
「何?お友達?」
美紀が太太の事を尋ねてくる。
「え、え、まぁ」
それから、何となくスマホの機能を一通りの交換をして一緒に教室に帰るのであった。
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