第41話 リュノの主張!?

朱里ちゃんが帰ったあと、リュノと2人で部屋に戻ったんだけど

…ぐぬぬ、朱里ちゃんの一言のせいで2人っきりの空気が気まずい。

『あ、あーとりあえず、晩ご飯にしようか』

『う、うん』

『じゃあリュノ、力作の敷物にでも座って待ってて』

リュノが作った赤と銀の縞模様が目立つ敷物を指さしながら伝えると、ふよふよと空中に漂っていたリュノは、敷物に向かいかけたが

『あ、作るの手伝おうか?』

と言って振り向いた。


そのほんのり朱色に染まって少し恥ずかしそうに微笑んだ顔を見て、俺は…………


『却下。』

ため息と共に重々しく伝えた。

『えぇ!?何でよ!?』

『料理は分量の感覚と正確性が大事だからね』

『ちょっと!カズマの認識に異議があるわ!私の認識はどうなってるのよ!?』

『暴発魔』

『ぐぬぬぬ!ちょっと貸しなさい!認識を改めさせてやるわ!』


そう言ったあとリュノは、包丁を取ろうとしてスカッていた。

『もうっ!カズマ!その刃物コーティングして!』

『いや、それって俺が更にお腹減っちゃうじゃんか』

むぅーーと唸ったリュノは、

『じゃ、じゃあこの前想像してた姿になってあげるから、私にやらせなさい!』

そう言うとリュノは服を変化させ始めた!

『へっ!?えぇ!?そこまでムキになることないだろ!ちょっ自爆テロやめろ!』

2人っきりの気まずい空気を打破しようとしてたのに、そんなことされたら意識してしまうだろ!


リュノの行動に焦っていると、玄関のチャイムがピンポーンとなった。

よ、よし、いったん離脱だ!頭が冷えればバカなこと止めるだろ!

『誰か来たみたいだから玄関行くけど、一旦落ち着いてな!』

と言い残し宅配便か何かかと思い、確認せずにガチャッとドアを開けると、ドアの外には朱里ちゃんがいた。

朱里ちゃんは、

「ちょっと扉が開いたって!」

と言いながら玄関に入ってきた。


するとそこに後ろからリュノが

『ふっふっふっ。カズマ、さあ、どうだ!完璧にできたぞ!これで私にやらせろ……』

と言いながら現れたのを感じた。

朱里ちゃんが絶句している…

恐る恐る後ろを振り返ると、朱里ちゃんにガン見されて固まっているリュノがいた。

……

………

…………

『えっとごめんね、ちょっと外で待っていようか?』

笑顔でフェイドアウトしていこうとする朱里ちゃんを

『いや待って!違うから!!』

と慌てて止めた。

『これは料理をしたがったリュノが暴走して!』

『だってどうしてもしたかったから!他に良い手が浮かばなかったんだもん!』

『今の間にクールダウンしたら止めると思ったんだけどなぁ』

とわちゃわちゃと弁明していると、朱里ちゃんがスッとリュノに近寄って

『でもホントに凄いねぇ』

としげしげと見始めた。

それに合わせてリュノが恥ずかしそうに身をよじると…駄目だって!元々2つのお山は横と下がはみ出てて頂上付近しか隠れてないし、下も極小で際どかったんだから、横とか下から色々見えちゃうって!あぁ、リュノ!逃げようとして浮くんじゃない!!


ヤバい!と思いつつ、リュノから目を離せないでいると、こっちを振り返った朱里ちゃんに気付かれてしまった。

『和真くんにはすっごく刺さってるみたいね。何で中腰なのかなー?』

『っ!しょうがないだろ…。リュノ、目に毒だから早く着替えて…ところで何か用事があったんじゃないのか?』

『そうなんだけどー。リュノさんの姿堪能しなくて良いの~?私に気を使わなくて良いのよ〜?』

朱里ちゃん、すっごくニマニマしているよ…ちきしょう



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

『で、扉が開いたって?』

『そうなのよ。とりあえずフラウ姫達が戻ってきたのか確認しようと思ったんだけど、違うみたいね』

『うん、伝達の魔道具は作動してないから違うと思うな』

『どうする?私としては確認してみたいのだけど』

朱里ちゃんが目をキラキラさせながら言ってきた。

『でも、朱里ちゃんは魔力譲渡の影響が切れてなくて影響を受けるから危ないよ』

『それを言うなら、和真君とリュノさんもでしょ。切れたら見えないし和真君を守れないから今のままの方が良いよ』

『うーん、近づかないという手もあるんだけど』

『私が見てこようか?大体の場所が分かるから魔力感知できるし、逃げに徹すれば余程の相手じゃない限り大丈夫だし』

…確かにリュノなら大丈夫だろうし、それが良いかな?何が居るのか分からないままも不安だしな…

『分かった。とりあえず危なくない所まで一緒に行って、近づいたらリュノに任せるよ。伝達の魔道具も持って行こう。リュノ、判明できなくても良いから慎重にな。リュノの安全が第一だからな』

『うん!任せて!』


そうして、晩ご飯がまだの朱里ちゃんの分も含めて、3人でおにぎりを作って、丸太小屋の方に向かうことにしたのだった。

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