第34話 フラナ姫と帰還!?

 宿(角羽亭)での立合いの後、宿の転移装置でフーリル族の里に戻ってきた。


 そして、報酬のお礼と帰宅の挨拶をし、改良してもらう予定の装備を渡すため、フラナ姫の屋敷を訪れたのだが…1人ズタボロの俺を見て、フラナ姫達が驚きの表情を浮かべて


『何ごとですか?』


と俺には心配そうに、リュノには若干探るような感じで聞いてきた。


『あーこれは、修練で角羽亭のコピアちゃんにボコボコにされまして…』


と説明すると、姫やミズハ隊長には

『あぁなるほど』

『彼女ならまぁ…そうなるでしょうね』

って苦笑とともに納得され、里長の息子のカークやダガト攻撃隊長にはめっちゃ笑われた…くそぅ



 で、装備を預けたあと、次回こちらに来る予定日と持ってくる物を打合せしていると、リュノが

『私次に来るまで、カズマのところに一緒について行っても良いかな〜?』

と聞いてきた。


『俺は構わないし、急に予定が変わっても対応し易くなって良いけど…フラナ姫、よろしいですか?』


『カズマ様の迷惑でなければ、私達も繋がりが増えるのは喜ばしいのですが…こちらに何かあった場合の連絡はどうしましょう?……あっ!リュノ、こちらからカズマ様の世界の扉を開けることはできて、カズマ様の世界に行けば伝達の魔道具は使えるのですね!?』


『はい姫様、それは大丈夫です。』


『でしたら、もしよろしければ、カズマ様の世界に戻られる時に“私とミズハ隊長”も付いて行き、戻られる先の転移装置に登録させて頂いてもよろしいでしょうか!?』


フラナ姫が有効性が高く、さらに自分自身も俺たちの世界を感じられそうな案を思いついたことに目を輝かせ、凄いワクワクした感じで聞いてきた!


これは断れないヤツ、と内心苦笑しながら、この2人なら問題ないと思うので了承すると、フラナ姫は満面の笑顔で手を叩いて大喜びしており、ミズハ隊長も小さくガッツポーズをしていた。

外野からは姫様ズルいぞーとか、俺も行きたいって声も聞こえてきて…結構大きな騒ぎになってきたな(笑)

…まぁ無闇に増やしたくないし、話を早く進めるためにフォローしとこう

『登録者はできるだけ最小にしたいので、もしもを考えると仰られている通り2人が良いと思います。人選についても、お2人とも信頼できますし、フラナ姫に対して不穏な動きがあるなら避難先確保としても良いと思いますし、リュノとの関係性からミズハ隊長も良いと思いますので、ベストだと思います』

そう言うと、にぎやかだった場もしょうがないかぁって感じで収まった。…うん、フラナ姫がニッコニコで頷いているね(笑)


『ところでリュノ、こちらに来るのは良いけど、どこで寝泊まりするの?』

『えっと…カズマの部屋はダメ?邪魔にならないように小さくなれるし』

『ヒュゥ〜ヒュゥ〜』

朱里ちゃん煽るんじゃない、姫様の視線も生温かいような…


『リュノが良いなら俺は別に構わないけど…俺の部屋で生活するとなると、何か必要なものはないかなー?……あ、そういえば、こちらの物であちらの世界で使ったのってマジックポーチや伝達の魔道具くらいだよね』

『んー、そうね』

『じゃあ、こちらの物をいくつか持って行って、認識されるかとか、コーティングしたらどうなるかとか試してみよっか。とりあえず敷物とかあれば、あっちで生活し易くなると思うんだよね。こちらの物が使えるなら見て分かるから、あちらのクッションとかでコーティングの有る無しが分からなくって、リュノが部屋から落ちちゃうことも無くなるだろうし。

あとこちらの物とあちらの物が合成できるかも試してみたいかな。もしできれば、リュノや朱里ちゃんがそれぞれ別の世界の物をコーティングなしで使えて便利なんだけど』

『!…確かに!』


 ってことでリュノの里で急きょこちらの世界の素材を見繕い、あちらに持って行くことになった。…急な話だったので、敷物用は虎の毛皮みたいなやつになったみたいだけど…赤と銀色の縞模様しまもようか…絶対部屋に合わないやつ…



諸々の準備を終えて、俺たちの世界への扉のあるほこらにまで転移してきた。


 到着すると早速さっそく、フラナ姫とミズハ隊長は転移装置に登録をしていた。

本来の目的であればフラナ姫とミズハ隊長はここまでで良いのだけど…どうするのかな?とフラナ姫に視線を向けると、


『ちょっとカズマ様の世界を見てみても良いでしょうか?』

と目をキラキラさせて聞いてきた。


 体に問題が生じなければ良いですよって答えたけど…想像してたけど、やっぱそうなるよね!(笑)



 扉を開けフラナ姫とミズハ隊長の身体に問題がないことを慎重に確認した後、自分達の世界に帰ってくると、フラナ姫とミズハ隊長は、見えるものが本当にすり抜けることを試して、非常に驚いていた。

やっぱり聞くのと、実際に体験するのとでは全然違うみたいだ。


 その後、朱里ちゃんの父親の大樹さんにもできれば挨拶をしたいってことなので、念のため、フラナ姫とミズハ隊長に小さくなって朱里ちゃんの服の中に隠れてもらってから、キャンプ場に向かった。


 キャンプ場に着くと、まず大樹さんにフラナ姫とミズハ隊長がリュノと同じく見えないことを確認してもらった。その後大樹さんにも魔力譲渡をして、フラナ姫とミズハ隊長を紹介した。

あの大樹さんも、さすがにフラナ姫に(協力や朱里ちゃんのことで)感謝の言葉をかけられたら、しどろもどろになってたなぁ(笑)

ミズハ隊長には立合いを称賛されて、目を白黒させていたし…これは朱里ちゃん、絶対後で詳細説明を求められるな…あっ大樹さんに何してんだ?って視線を向けられた朱里ちゃんが、冷や汗流して固まってるよ。南無~。


 なおフラナ姫やミズハ隊長は、キャンプ場の様子や、他の人に全く認識されないことに興味津々だった。

フラナ姫が想像以上に積極的に動き回って…ミズハ隊長はフラナ姫への心配をしながら興味もあるので抑えがあまり効かず…完全に抑え役になったリュノは普段絶対にやらない役割にワタワタして大変そうだった。笑


 さて切りが無いし、そろそろ切り上げてもらって俺の部屋に向かいますか。…フラナ姫、付いてくるかな?

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