第26話 朱里ちゃん落ちる?
…あ、あれは朱里ちゃんの悲鳴!?
何があったんだ!?
とりあえず駆けつけようと
『何か朱里の悲鳴が聞こえたので、ちょっと見てきます!』
って伝えると、周りはキョトンとしていた。
…そうか、悲鳴が聞こえないから…これ下手したら
『リュノも一緒に来て!』
とりあえずリュノを巻き込んで隣の部屋に駆け込むと、朱里ちゃんはほぼ床に埋まっていた!
正確には、脱ぎかけのズボンをはいている左足の足首と、
そして、左足の先っぽ以外の腰から下は床下に落ちてしまっているようだった。
やば、下に落っこちてしまいそうだ!
必死に靴にしがみついている朱里ちゃんに駆け寄ると、
「あぁ!和真君、助けて!引っ張り上げて!」
と言う朱里ちゃんを引っ張り、抱き上げた。
「あー助かった。ありがとう」
「大体想像はつくけど、どうしたの?」
朱里ちゃんに何が起こったのか聞くと、
コーテイングされたズボンを脱ぐために、ズボンを下ろし、右足を靴を脱いだ後にズボンから抜いて、そして何も考えずに右足を床に置いたら、そのまま下に突き抜けてしまったらしい。
バランスを崩して落ちながら、とっさに脱いでた靴を
ってことで、引っ張り上げたあと落ちないように抱き着いている朱里ちゃんは…半裸である……動揺したら負けだ。平静を保て俺!
「よ、よしっ、落ち着いたかな朱里ちゃん?」
「声が裏返って、ぎこちなく硬直してる和真君よりは」
…ぐぬぬっ、こらっ少し顔を赤らめながら悪ぶって体揺らすんじゃない、色々ヤバいから
『カズマ、アカリちゃん大丈夫?アカリちゃんのズボンがカズマの横でひらひら揺れてるんだけど…そこにアカリちゃんが居る感じ?』
『あ、ああ、靴を脱いだアカリちゃんが下に落ちそうになってな…今は大丈夫だ。ちょっと座らせてあげたいので、コーティングするための椅子か何か持ってきてくれない?』
『あーなるほど。分かったよ。ちょっと待ってて』
落ちそうになった経験があるリュノが苦笑いして、椅子を取りに部屋を出ると、ちょうど入れ替わりにフラナ姫が様子を見に現れた。
『今リュノが急いで出ていきましたけど、カズマ様、アカリさんは大丈夫ですか?』
『ええ。ちょっと朱里が床を突き抜けて下に落ちそうになっただけで、今はもう大丈夫です。この部屋の下に地下室とかありました?』
『へ?あっ、ええ確かに……ごく一部の者しか知らない場所なので秘密にしといてもらえます?』
…おぅ、もしかして秘密の部屋を引き当ててしまった感じか?逃走用とかかな?これは申し訳ない…
『ええ、もちろん秘密にします。何かすいません』
『いえ、私も忘れていて考えが及ばなかったので』
「和真君どうしたの?」
「下にある部屋は秘密の場所らしいから、他言無用でって」
「うわっ了解」
そうこうしている内にリュノが椅子を持って戻ってきた。
その椅子を近くに持ってきて貰い、座面にコーティングをして、朱里ちゃんに座ってもらった。
そして(今さらだけど)、俺が背を向けている間に服を着てもらい、コーティングしてる靴を履いてもらって、朱里ちゃんの着替え完成である。
これ靴だけがある感じだよね。リュノに確認すると、やっぱ靴だけが動いている感じらしい。
今はそれで朱里ちゃんが何となくそこに居るのが分かるから丁度良いけど…
これから朱里ちゃんは、外だとコーティングしてない靴に履き替えても問題ないから、姿を完全に隠せるけど、建物に入って動くときは、靴だけは見えるものを履かないと駄目だよな〜。
とりあえずコーティングした椅子を朱里ちゃんに持ってもらって、皆が居る部屋に戻り、朱里ちゃんにその椅子に座ってもらった後、持ってきた物の説明を再開した。
皆食べ物の説明に興味津々だった。
そりゃ魔力も増える上に、リュノがあれも美味しかった、これも美味しかったって補足するしね…
それで、その後実際に食べてみようとの話になった(特に里長の息子のカーク君が食べてみたい!って主張してた。フラナ姫はカーク君を抑える感じを装っていたけど、明らかに食べたそうだったし、じゃあ食べてみようってなったらメッチャ笑顔になっていた。笑)
さて味のわかってる俺が作ってあげた方が良いんだろうけど、何を作ろうかな?
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