エッセイ
鈴乱
第1話
ご飯を食べなきゃ、涙さえも、感情さえも「無」になるらしい。
感情が動くにも体力が要るってことかね。
暑い日が続いて、心悩ます出来事も噴出して、もう、何もしたくないやと筆を執る。
……悩んでても、筆をとるんかい。自分。
なんていうか、書かなきゃ、やってらんないんだよね。
こういうとき、お酒に走る、とか言うけど、自分は物を書きに走る。
悩みって大変なんだって。めちゃくちゃ心が揺れるから。
そんで、物書きは想像力豊かなわけ。
『あぁしてたら違ったか、こうしてたら違ったか
これがこうだったら~……』
なんて、後悔にもバリエーションが豊富。
『いやいや、それは終わった話。現実は進んでいくわけであって……』
と現実に戻ろうとして、
『うーん、でもあれがこうで、これがこうだから~』
とまた、ループに入る。
……馬鹿なのかしら、自分。
そして、また思い出して泣く。
日によっても違う。
ある日は、超強気な文章を綴る。かと思えば次の日、超弱気な文章を綴る。
『もうダメだ!』から『いや、まだこれからじゃない?』まで幅広い。
……めんどくさいよ。
大体、物書きとか言ってもですね。基本、『こういう世界、素敵~♪』とか言ってるお花畑脳なんだって。
ごちゃごちゃしてるものを見ると、スパーンッて切り捨てたくなるんだよね。
……ごちゃごちゃしてる思考とかさ。
分かってんのになぁ。
悩み、なんて、事実がはっきりしないから、想像の中でああでもないこうでもない、って語るものだって。
事実がはっきりしちゃえば、悩みなんて吹っ飛ぶんだって。
『あの人は私のこと嫌いかもしれない』とか思ったら、『嫌い? ま、まさか好きなんてことないよね!? え、でも、もしかしたら!? あー、嫌われてたらヤダぁ』とかって思考が巡るわけよ。
要するに、『事実が分かってない』から。
「ねぇ、私のこと好き!?」
って聞いてしまえば、分かる話よ。ドカーンとぶつかったら、答えが分かる。
答えが分かって、『わーい』ってなるか『うっ……つらっ……』ってなるか。
まぁ、でもあれよ。人生がそこで終わるわけでもないから。
望ましくないものだったら、しばらく引きずっといて、引きずり飽きるまで引きずっといて、そんで、『うん、飽きたな』と思ったら、引きずってるものをポーンと投げ捨てて、『はい、次』っていけばいい。
人間、満足するまでやったら、飽きるものよ。
何事もね。
悲しかったら、気が済むまで泣けばよろしい。
後悔すんなら、飽きるまで後悔すればよろしい。
やりきった先に『あ、もうええわ』と吹っ切れる瞬間がくるから。
中途半端だと、中途半端にいつまでも気持ちが残るから。
精一杯、感じ切ればいいんだ。
『もう感じ切れません! 精一杯、感じました!』ってとこまでやればええのよ。
人生なんて、そんなもん。
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