第4話 女神、つりの餌にされる



 前々からおかしい、変、あやしいと思ってたけれど、この勇者っ絶対まともじゃないっ。


 何で!?

 勇者召喚って勇者にふさわしい人間が召喚されるはずなのに。


 勇者にふさわしい不屈の精神を持っているとか、

 勇者にふさわしい強さをもっているとか、

 勇者にふさわしいカリスマをもっているとか、


 そういう人が来るはずだったのに。


 この人、勇者と言うより魔王って言った方が適切なんじゃ。


 で、今回も私はその勇者に便利なツール扱いされてます。

 

 目的は何かというと、餌だった。

 女神は、怪魚をつりあげるための釣り餌になっていた。


「きゃーっ! 魚に食べられかけてるっ! 歯でガジガジされてるっ!」

「いいぞ、その調子だ」

「その調子だ、じゃないわよっ!」


 どうしても釣りあげなければならない魚がいるので、勇者は釣りの為の道具をそろえたんだけど、どうにも普通の餌じゃうまくいかなったらしい。


 購入な食材とかも試してみたけど、すべて失敗に終わってしまったので、私に出番がきたというわけだ。


 勇者のとなりで居眠りしているうちに、服の襟に釣り針をひっかけられてたなんて。


 おかげで起きた瞬間には、魚の口の仲に体が半分入っていた。


「ちょっと、勇者! 助けて。いやぁっ、食べられちゃうっ!」

「その調子だ」

「だから、その調子だじゃないってば!」


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