第14話 行方不明者 *小鳥*

 雨がぽつぽつと降るある日。


 刑事が再びやって来た。


 今度は二人で。


 前とおんなじ中年男性と、新人っぽい若い男。


 なんの用かと聞いたら、


「行方不明者の件で少しお伺いしたいことがありまして」


 追い返すと面倒なことになりそうだから客間に通した。


 聖は同席せず、私一人で対応。


「聖さんをイジメていた二人が行方不明。おかしいと思いませんか」


「最近行方不明者が増えているんです。なにかご存知ありませんか」


 中年男が言葉を重ねる中、若い男は黙ってじーっと私を見ている。


 気持ち悪い。


「なにも知りませんよ。なんで私たちが知ってると思うんですか」


 その後も、


「本当にご存知ないですか」


「イソさんは日本で行方不明になっているんです」


 質問されまくったけど、知らぬ存ぜぬで押し通した。


 それ以外に方法ある?


 ないでしょ。


 私からなにも情報を引き出せないとわかった刑事たちは、


「なにか思い出したことがあればご連絡ください」


 と言って帰った。


「やっぱりなにか気づいているわね。根拠なさそうだけど」


「あっ、聖ぃ。私ちゃんと対応できてた?」


「ええ。できていたわ」


 彼女は微笑んでくれた。


 嬉しい。


 正直ボロを出していないか不安だったんだ。


 聖の言葉で不安は宇宙の彼方に飛んで行った。


 でも、


「また狩りを我慢しなきゃダメなのかなあ。嫌だなあ」


 愚痴をこぼす。


 この間は2カ月も我慢した。


 暇すぎて死にそうだった。


 猫のシロと遊んで気を紛らわす日々だった。


「大丈夫。今回は我慢させないから」


「ふぇ?」


 降っていた雨が強くなったのが玄関越しに聞こえてくる。


「どういうこと?」


 聖は美しく微笑んだだけだった。


**

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