4. お食事、そしてお風呂へ
櫻子とくっついてお部屋でごろごろしているうちに時間は過ぎていく。
「たぶんそろそろ仲居さんがいらっしゃるわ。」
私達は寝転んで少し乱れた髪や服を整える。
いくら旅館でお部屋で食べるとはいえ、出てくるのは立派なお料理。襟を正して臨まないとね。
鏡で身なりを確かめていると、コンコンというノックの音と仲居さんの声が聞こえる。
「こんにちは。お食事のご用意ができました。」
「はい、お願いします。」
櫻子が応えて、中から扉を開けると、お食事のいい匂いが部屋の中に入ってきた。
仲居さんがてきぱきと食事の支度をしていく。
「こちらはここ
仲居さんがお料理の説明をしてくれる。
「また頃合いを見て次のお料理をお持ちしますね。」
仲居さんはまた戻っていく。
「じゃあ琴葉。いただきましょうか。」
「いただきます!」
その後もお刺身、茶碗蒸し、てんぷら、彩りご飯、お味噌汁と続いて、どれも美味しくてびっくりしちゃう!
「デザートはこちら、
メロンのアイスは優しい甘さですごく美味しかった。
「お風呂のタオルはそちらの棚にご用意がございますので。ごゆっくりお楽しみくださいませ。」
仲居さんがお料理を片付けてくれると、部屋はまた2人だけになった。
「美味しかったわ。2人だけで、こんなお食事も良いものでしょう?」
「はい。こんな、お部屋でお食事なんて初めてでしたけど、美味しかったです!」
「良かった! 今はお腹いっぱいでしょう。お腹が落ち着いたら、お風呂に行きましょうか。」
いよいよだ。
棚からタオルを出して大浴場へ向かう。
泊まりの客だろうか、浴衣を着た他のお客さんと何度かすれ違う。
お風呂上がりなのだろうか、長い髪がまとめ上げられてうなじが見えている浴衣の女性のお客さんともすれ違う。
そんな人を見ると、櫻子がそんな姿をしたらと想像してしまってそわそわする。
浴衣は無いけれど、これから櫻子と一緒にお風呂に入って、隠すもののない櫻子の身体を目にするというのに。
「着いたわ。」
落ち着かない間にお風呂に着いてたみたい。
『男湯』と書かれた藍色の暖簾と『女湯』と書かれた紅色の暖簾が目を引く。
櫻子は女湯へと向かっていく。
少しだけ足が止まったけれど、櫻子に気づかれないうちに意を決して、紅色の暖簾の向こうへ歩んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます