57限目
王城に到着したわたしはまーくんと別れて待合室で待機となった。
事前に宰相様から今回の叙勲についてのお話しなど何を会話が成されるかの確認が行われた。王の間で要求貴族に見守られながら叙任式が行われ、そのほかにも領地の事も含めて色々小難しい離しも多かったので割愛するね。
話す事もそろそろ無いかなと思ったら最後に王様から質問された。
「其方の行いはここ近年ではあり得ないほどの功績だ。爵位以外に何か望みは無いのか?」
えー、いきなり言われても何も思いつかないよ~。まさかまーくんとの結婚を認めて下さいなんて言うわけにはいかないもんね……まだね。
「……恐れながら爵位でも身に余る光栄です。ですが、もしも聞き届けて頂けるのなら……これを」
わたしは自分が身に付けていたペンダントを外すと両手に乗せて差し出した。そのペンダントは白いマットな加工がされているもので、中央には青く輝く水晶が埋め込まれていた。
王様に視線を向けられた家臣がわたしの元にそのペンダントを取りに来る。それを受け取った王様は興味深そうに宙にぶら下げたペンダントを眺めた。
「ふむ、不思議な輝きだな……金属のように堅いがこの軽さはそれではない」
「
「「「「
その言葉に王の間がざわめいた。加工が不可能と言われている木で出来た装飾品……誰もが懐疑的な目でそれを見ている。
「いまだそのような小さな装飾品しか作る事が出来ませんが、そのペンダントには魔から守る力があるようです。わたしの領地の重要な役職者には身に付けさせています。安全が確認出来ましたら王族の方々には万が一に備えてそれを身に付けて頂ければと……残りは後で届けさせます」
「そのような話を信用しろと?」
「はい、それがわたしにとっての願いです」
この様子だと話の真偽がどうか半分に割れている感じだね。本当は
別に
「これでは余が褒美を得ただけでは無いか……そなたは欲が無いな」
「いえ、今後も変わらぬ王家の安泰……それがわたしの望みです」
そんな感じでわたしの胡麻擂り点数稼ぎな叙勲式は終了したのでした。
そして面倒な行事が終了した後でわたしは待合室で待機している。するとノックと共に老執事が入ってくると別の部屋に案内された。
すると城の中庭らしき場所に来るとそこには愛しのまーくんが待っていてくれた。
「お待たせ致しましたマクシス様」
「ああ、もう叙勲は終わったんだな。おめでとうといった方が良いか?」
「ありがとうございます。これからも国が繁栄出来るように力を尽くします」
「……アーリャは凄いな、俺と同じ年だというのに」
まーくんは感心したような口調で褒めてくれる。いいえすべてはまーくんのためです!! おおっと、いけない、本題がまだあるんだったよ。
「偶然によるところもありますが、めのまえにできる事があったのでそれをしたまでです」
「そうか……それで、なにか俺にどんな用事があるんだ?」
「はい、わたしも実際に向かうのは初めてなのですが、マクシス様のお部屋から見える中庭に行きたいです」
「そうなのか? わかった、案内しよう……こっちだ」
わたしはまーくんのすぐ隣に進むとゆっくり歩くその半歩後ろに並んだ。さすがお城の中庭は広いので学院での色々な話をしながらゆっくり歩いた。
「ここの門を潜るった先だ……ここが……え?」
……そこには美しいピンク色の花びらを芽吹かせた桜の木が三本並んでいた。
______________________________________
面白かったら★評価、フォロー、応援、レビューなどなどお願いします……物語を紡ぐ原動力となります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます