43限目

 あれから数日……お披露目イベントは無事に成功して、平常通り領主のお仕事に戻った。学院の休みもあと僅か……今のうちにやれる事をやっておかないとね。


 隣国の間諜スパイの尋問……なんかこんな言葉を普通に使うようになってちょっとへこむ……は、自白の魔道具を王族しか持っていないので、後にやって来る王都の兵士に引き渡してお願いする形になる。なるべく早く記憶を操る魔道具の仕組みを解明してほしい。

 そして難民の各村長に確認して今一度、各村の住民を確認して残りの間諜スパイを割り出して捕らえる事で外側の不穏分子はいなくなりました。


 それと同時に街の中にもいるであろう間諜スパイは、現在街の出入りを制限して逃げられないようにしている。今までこっそりと街の門を潜らないで不正に出入りできた抜け道はあーら不思議、いつの間に全て塞がれていました。

 街の住人を調査して用意した身分証も二種類あって身の保証がされている人とそうで無い人で区別されている。でもちょっとやそっと見ても分からないようになっているから、自分は身分証を持っている! と油断して悪い事をすると捕まっちゃう仕組みだよ。

 その身分証をチェックする門番の兵士も配置換えで一新しているので不正も出来ないようにしているので、まだ穴はあるかもだけどセキュリティーは王都よりもしっかりしていると思う。


 はぁ~、何だか疲れたな~。わたしは商人の延長で美味しいお菓子をつくったり、便利な道具を作って領地を発展させていけば良いと思っていたんだけど、実際は陰謀の渦の中で敏腕領主みたいな真似事をさせられるのは本当に予定外だよ。でも多分王様からはこれを期待されていたんだろうね~。

 今回で下手に隣国の間諜スパイを沢山捕まえちゃったから今後もより期待されちゃいそうだよ。


「はぁ~~っっ」


「どうしたんですかお嬢?」


「なんだかどんどんまーくんとのラブラブ学院生活が遠のいていくな~って。はやくまーくんに会いたいよ」


「恋愛に近道などありませんよ。今は耐え忍ぶ時かと思います……お嬢はそれが出来ると信じています」


 励ましてくれようとしているのは有り難いけど、なぜか自分は経験者だから分かっている風な言い分だ。


「マリナってお付き合いしている男性っていたっけ?」


「さて、私は来客用のお茶を買い付けに行ってきますね」


 あ、逃げた。



□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



「ベイビー、またお手柄だったようだね。とってもエクセレントだよ」


「あ、アレウス様!? こんな辺境まで第一王子様がいらっしゃるだなんて!?」


 目の前にはまーくんを少し大人にしたような金髪の美少年、第一王子アレウス様がいる。相変わらず前世の国民的人気アニメ『ミニまるかちゃん』の主人公『まるかちゃん』のキザな同級生『華々輪くん』みたいな喋り方は変わっていないみたい。


「大まかな話は手紙で知っているけれど、細かい話をベイビーから直接聞きたいな」


「はい、わかりました」




 ……わたしはお披露目会目前の出来事や、その後行った対策などをアレウス様に説明する事になった。




______________________________________


面白かったら★評価、フォロー、応援、レビューなどなどお願いします……物語を紡ぐ原動力となります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る