27限目
「このルビィ・テンカーは貴女、アーリャ・アルダークに決闘を申し込みます!」
「お話しが唐突すぎます。決闘とは穏やかではありません」
「そうだ、女性に対して決闘など冷静さを欠いているぞ」
わたしとまーくんが唐突な展開に押し負けぬよう反論をするが、ルビィさんの決意の堅さが表情から見て分かる。
「無茶を言っているのは分かっていますが、私も後に引けないのです……この勝負の成立に『気高き決意』を誓います」
「なっ!?」
そ、そんな、学生の身で最終手段を出してくるなんて!?
『気高き決意』とは前世で言うと『一生のお願い』みたいな事なんだけど、恐ろしい事にそれを持ち出されたらそのお願いを聞かなければいけないのがこの世界の貴族のルール。
しかも無条件に使えるわけでは無くあくまで王族の立ち会いの元、宣言が必要なのだけれど……ここにはまーくんがいるのでその条件が満たされてしまっている。
そしてこれは先に宣言した者の『決意』が優先され、後から『気高き決意』で相手の『決意』を撤回させることは出来ない決まりなのです。
まさに一生に一回の最終手段なので。まだこれから長い人生のある学生の身でこれを出す事はまず無いはずなのに……
「一生をかけても貴女を手に入れたいのです」
「「一生だなんて、素敵ですわ!!」」
わたしよりも友達二人が反応している。ねぇ、二人ともわたしがまーくんラブだって知っているよね? このままだとわたしルビィさんにドナドナされちゃうんだよ!? いけない、なんとかしないと!!
「わたしは決闘なんて無理です。自慢ではありませんが剣術で勝負などとてもできないです」
「この学習院では古くから学院内の協力者を集めて戦う決闘が行われていました。5人でチームを作って一人ずつ戦う団体戦です……強い助っ人を集める手段も含めての戦いです」
ちょっとこれ最初からこの可能性を考えて戦う方法まで用意しているよね? 前回のカイナさんに続いて逃げ道が無いよ!! でも五人で戦う団体戦って前世で言う剣道とか柔道みたいだよね……って事は強い人が一番目にいれば何とかなるのかも?
「もちろん先に三回勝てばそのチームの勝利です。戦いに自信が無ければ
ルビィさんがわたしの心を読んだようなタイミングで語りかけてくる。
こちらに有利な事を提案してくるからには自信があるのかも? それに味方になってくれる4人も仲間を集める事が出来るのかな?
今の所、わたしのお友達って全部お勉強が得意な人ばかりで剣術まで得意な人はいたかどうか……
「アーリャ、心配するな、俺も協力する。アーリャに望まぬ婚約なんかさせない」
「マクシス様♡」「「素敵♡」」
はぅ~、まーくんの格好良さにキュンときたよ。って、いくら二人がお友達でもわたしのまーくんにキュンとしたら駄目だよ!
「騎士団長直々に鍛えられているマクシス様が相手とは……だが私も負けるわけにはいきません」
「紅の剣と恐れられた男の息子の力を見せてもらうぞ」
「マクシス様♡」「「素敵♡」」
はぅ~、ライバルと格好良く対峙するまーくんの姿も格好良い……それにしてもルビィさんもなんだか凄そうな二つ名のお父さんを持っているんだね。でもまーくん方が強いに決まっているよね。
「それでは勝負は1週間後、学内闘技場にて真剣勝負を致しましょう」
なし崩しに勝負する事になっちゃったよ。勝負はともかくなんとか仲間を集めないと。まーくんがいれば大丈夫だと思うけど、三連戦を勝ち抜かないといけないとなると万が一と言う事があるし、ここはわたしもちゃんと手を打っておかなきゃ。
……わたしは1週間後に向けて心を決めるのでした。
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