最終章やり直し 悪夢の生徒総会~ギリギリセウト世界線

プロローグ 神様の秘密の楽しみ

『ん゛もぅっ、る゛ぁあ゛めぇえぇっ! あ゛ぁあ゛っはぁあっっっ!!!』



 ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!



『見ないでぇぇっ!! お願い、見ないでえええええええっっ!!! 嫌あああああああああああああっっっ!!!!!』



 ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!


 ジョババババババババババババババババババババッッ!!!


 ビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャッッ!!!










「ふぅ……」




 気の抜けるような溜息をしたのは、この世界を作った神様です。



 とてもスッキリとした、どちらかと言うと賢者のようなお顔をされていますが……神様です。


 神様は今、生徒総会の壇上でお漏らしをしてしまったアリアをご覧になりながら、マスt……『解脱』を、されていました。



 あぁ、ゴミ箱を覗かないで下さい。

 誰も幸せになりませんよ?




 おや? どうかなさいました、神様?

 分岐を作る?


 またですか……お一人でやって下さいね。



 神様は大きな大きな、幾重にも幾何学模様を重ねた球体にペンを走らせます。



 神様は、アリアが大好きです。

 彼女を生み出すため、かなり発展した文明を2つ程滅ぼしてしまう程にです。



 友達に囲まれた青春を過ごして欲しい。


 愛する人と結ばれて欲しい。


 幸せな家庭を築いて欲しい。


 そして命尽きるその時は、どうか満足して逝って欲しい。



 幸せに、生きて欲しい。



 今回アリアが迎えた結末は、彼女の未来を閉ざすに足る衝撃的なものでした。

 一生を日陰で過ごすアリアを見続けることは、神様の望むところではありません。


 ですが、一度認識してしまった事は、神様とて、なかったことにはできません。



『観測したらアウト』



 結構難しい話の筈ですが、割と常識のようですね?


 オ○リンが言ってた? 左様で御座いますか。



 話を戻しましょう。


 もうこのアリアを救うことはできないので、神様は分岐を作ります。

 過去の数カ所を改変し、新しい別の歴史、『別のアリア』を作るのです。


 そう、我々は僅かながら、世界に干渉する力を持っています。

 神様の力をもってすれば、今回の事件も未然に防げたことでしょう。


 では何故、わざわざ悲劇が起こってから、新たな救いの分岐を作っているのか。



 神様は、アリアに歪んだ愛情も抱いておられるのです。



 アリアが内なる水に苦しめられ、艶かしく悶える姿が見たい。


 あられもない姿を衆目に晒し、恥辱に塗れ、泣き崩れるところが見たい。





 そうですね、ド変態です。



 少女達の企てを知った神様は、気持ちの悪いくらいソワソワしておられました。

 そして、アリアのお友達が全員総会の日に学園を休むと言う偶然を知った時、どうしても、その結末が見たくなってしまったのです。



 結果はあの通り、神様大興奮。

 とても捗っておられました。



 この歴史はどうなるのかって?


 もちろん、そのまま進んでいきますよ。

 漏らしたアリアは、漏らしたアリアのまま、その後の人生を歩んでいくのです。


 神様は、例え100人のアリアが悲劇的結末を迎えても何とも思いません。

 ただ興奮するだけです。


 たった一人、ハッピーエンドを迎えるアリアがいれば、神様は十分なのです。




 そうそう、エロゲのバッドエンドを全部見るタイプです。



 さて、作業が終わった様ですね。

 どんな歴史になりましたか?




 ふむふむ……リーザとアネットが利尿剤を抑えましたね。

 一番の原因ですから、これは絶対に何とかしないといけません。



 エルナとロッタは……ああ、エルナがびしょ濡れになったアリアに、制服を貸していますね。

 これで、一人体育着で壇上に上がる羽目になることは、なさそうです。

 ロッタはエルナの着替えを取りに、寮に戻りました。



 ……トイレの邪魔だけは防いで差し上げないところは、とても神様らしいと思います。



 では、改めて総会に挑んだアリアは……若干、モジモジしていますね。

 結局トイレには行けておらず、紅茶もかなり飲んでしまったので、当然と言えば当然です。

 さすがにまだ利尿剤を盛られた時ほどの危機感はありませんが……最後まで我慢できるでしょうか?


 ちょっと、様子を見てみましょう。



 時間は……そうですね。


 前回、アリアの最後の瞬間となってしまった、連絡事項の読み上げから――

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