レイナのダンジョン攻略
コメント
『えげつねぇ……』
『ガクガクブルブル』
『レイナ様、案外怖い』
レイナのえげつない一撃に視聴者一同が凍り付く。うん。仕方ないと思う。
「今のは格下相手にしか使えないちょっとしたズル技ですね。ウェスタさんには全く通じませんよ。爪の一部すら風化させられません。まぁ今の主様には通じますけど」
……ちょっと? 怖いこというのやめて? いつも結構固いこというからマジで言ってるかと思うから。
「冗談ですよ、そんな顔しないでください主様。さて、気を取り直して先に進みましょう。死霊王の威厳を見せるのはこれくらいにして、そろそろメイン戦術で戦っていきたいと思います」
そういってカメラの方を見るレイナの表情はいつもよりやわらかい。なんだかんだでレイナも配信楽しんでくれてそうだな。いい笑顔だし。
コメント
『おい、切り抜き班?』
『絶対切り抜け』
『普段お堅い子の笑顔は世界を平和にする』
視聴者に全面同意。
「さて、ではやるとしますか」
「――我が魂よ、冥府より来たれ。その魂は暗く、より暗く。何者にも見通せぬ深淵の顕現。いでよ! 『
レイナの目の前に虚空から漆黒の鎌が現れる。相変わらずかっこいいなぁ魂装。俺も使いたい。
レイナの魂装展開に俺の隣のウェスタが驚いた顔を見せた。そしてレイナのもとへ向かう。あ、配信に映るけどいいのかな?
「ちょっと待つのじゃ! レイナ、なぜそっちが使えるのじゃ!?」
そっち、とはどういうことだろうか?
「なぜ、と言われましても……これが私の魂装ですから」
「確かにそうじゃが今は『
え、何そのかっこいい名前。
「ああ、確かにそうですね。では」
「――我が魂よ、概念を構築せよ。その魂は恒久に時を刻む。流れ過ぎる光を見つめる針よ。今我のためにその針を止めよ! 『
レイナの背後に時計のようなものが現れた。普通の時計とは違いローマ数字時刻が表示される禍々しい時計だ。正直いってめちゃくちゃかっこいい。レイナと一緒に居ると厨二病になりそうだ。
「なぜ二つ同時に展開できるのじゃ!? 魂装は一人一つじゃろ!?」
「いえ、私たちに限ってはそうではありませんね。やってみればいいじゃないですか」
レイナに言われた通り、ウェスタも魂装を展開する。
「――我が魂よ、呼びかけに答えよ。その魂は轟々煌めく炎を映さん。その光輝の刃をもって我が敵を焼き斬れ! 『
「――我が魂よ、我が深奥に集え。その魂は希望を導き紡ぐ。すべての希望をつなぎ、今ここに顕現せよ! 『
ウェスタの手元に剣が出現し、さらにウェスタが黄金のオーラを発し始める。……どっかの野菜の星の人でしたか?
「できたのじゃ……」
「でしょう? できると思えばできるんです」
コメント
『なんだかよくわからないけど二人の武装状態かっこよすぎだろ』
『呪文というか詠唱? みたいなの普通にかっこよくね』
『あの何かを呼び出す技魂装っていうんだな』
みんながかっこいいとはやし立てるなか冷静に分析してるやつがいるぞ。あいつに敬意を送ろう。
目的の話が終わったのか、ウェスタが魂装を解除しこちらに戻ってくる。
「さて、気を取り直して私の本気戦術を見てもらいましょうか」
レイナがそういうと、タイミングを計ったかのように通路の奥から魔物が出てきた。いや、レイナがタイミングを計ったというのが正しいのかもしれない。レイナがあの魔物が来ているのに気が付かなかったはずもないしな。
「じゃあ戦いますよ? 見逃さないでくださいね?」
レイナがそういった瞬間、すでにこちらへ向かってきていた亀の魔物が真っ二つになっていた。その隣にはいつの間にか移動していたレイナの姿がある。
マジかよ。全然見えなかった。これでもAクラスくらいの実力とステータスはあるはずなんだけど。
「見えましたか?」
一瞬にしてカメラの前まで戻ってきたレイナがそう聞いてくる。うん、俺も見えてないし、誰も見えてないと思うよ?
コメント
『え? もしかしてうちの回線死んでる?』
『何も見えなかった……』
『瞬間移動……?』
ほら、誰も見えてない。
「少し意地悪でしたね、実は私には時間に干渉する能力があります。今は時間を止めて魔物を倒しました」
レイナがカメラに向かって微笑みながらそう言う。
時間を止めたとか……見えるわけないし確かに意地悪だな。
コメント
『ちょっと意地悪だと思ったけどそのほほえみですべてがどうでもよくなりましたありがとうございます』
『なんだろう……とてもいい……』
視聴者も文句を言うかと思ったがレイナの微笑みにみんなノックアウトされていた。
「次はちゃんと時間を止めずに戦いますからしっかり見ててくださいね?」
その言い方はあれだろ、オタクに対する殺意が高すぎる。かわいい。
コメント
『やべっ鼻血出てきた』
『ちょっとまって……地味に上目遣いなのあざとすぎる』
『切り抜き班、仕事お願いします』
うん。みんなちゃんと葬られたね。
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