閑話『炎竜王と死霊王―其之弐―』
ウェスタが覚醒した新たな魂装の名は『
現代で発言している魂装の中ではぶっちぎりで最強の能力だ。ちなみに異世界の魂装にはもっとイカれた能力が存在している。
「この力……。今なら冥竜王にすら勝てそうじゃ」
『希望の炎』の力を手にしたウェスタの力は最強の竜、冥竜王にすら及ぶ。冥竜王は異世界で魔王と並び恐れられていた最強にふさわしい存在だ。
「そう、ですね……。今のあなたなら、それぐらいの強さはあっておかしくないでしょう……」
殴り飛ばされ壁に激突したレイナが腹部を抑えながら戻ってきた。
「どうするのじゃ? まだ続けるのか?」
ウェスタは見るからに大きなダメージを負っているレイナに向かって戦いを終わるかどうか問う。そもそも、この戦いはブランクの確認のためのもので負傷するほど戦う必要はないのだ。
「いえ、続けますよ。もう少しでなにか、つかめる気がするんです」
「そうじゃな。儂もこの力を試してみたいのじゃ」
かくして、二人の戦いは再び幕を開ける。しかし、その戦いは先ほどと同じような互角のものではなく、レイナが防戦一方になる状況であった。
レイナは火力が上昇していくウェスタの攻撃をなんとかしのぎ続けていた。
「もう、よいのではないじゃろうか? 十分運動にはなったじゃろ?」
「いえ、もう少し、もう少しでいいんです。お願いします」
そうウェスタに頼み込むレイナの鎌が空気に溶けるように消えていった。
「これは……そうですか」
レイナは何かを理解したようにそうつぶやいた。
「もう限界じゃろ? 無理はしなくてもよいのだぞ?」
魂装が解除され、やはり限界なのではと思ったウェスタが『希望の炎』を解除し、レイナに声をかける。
「いえ、問題ありません。続けましょう」
そういったレイナの背後には、ローマ数字が描かれた巨大な時計の幻影が顕現した。
レイナは横目で結界内でスマホを眺めている宗次郎を見る。昔から変わらぬ使えるべき主の姿。
『危なくなったら俺が守る』
『だから、失敗を恐れずやりたいと思ったことは好きにやれ』
『君たちは優しいからそれが世界の平和には一番いいだろうしさ』
『信じてるよ』
昔、四天王として働いていたころかけられた言葉がレイナの頭の中を駆け巡る。自分を信頼してくれる、肯定してくれる主のために、レイナは可能性をつかみ取る。
「――我が魂よ、概念を構築せよ。その魂は恒久に時を刻む。流れ過ぎる光を見つめる針よ。今我のためにその針を止めよ! 『
その瞬間、レイナの背後の時計は完全に顕現した。
「変質したか! しかし、これは……随分とまた特徴的な魂装じゃな。ならば儂も……」
ウェスタは一度解除した魂装をもう一度顕現させる。
「――我が魂よ、我が深奥に集え。その魂は希望を導き紡ぐ。すべての希望をつなぎ、今ここに顕現せよ! 『
もう一度ウェスタの周りに金色の輝きが集う。
「今までの私とは、違いますよ。今なら魔王様と並ぶともいえるでしょう」
「そうじゃな、儂と同じステージに立ったといえるじゃろう。では、ここから、再戦じゃ!」
「そうですね。では先手は私から」
レイナの一言と同時に、世界は停止した。
止まった時の中をただ一人、レイナだけが歩く。宣言した後の構えの状態で止まっているウェスタの隣にレイナは立つ。
先ほどの恨みとでもいうかのように、レイナはウェスタの腹部に一撃を加える。
そして……止まった世界は再び動き始めた。同時にウェスタは壁まで吹き飛ばされる。先ほどとは逆の光景である。レイナの背後の時計の針が廻り始める。
「これは……なるほど、針が回るほどに私の能力も上昇する感じですね」
「まったく、すごい能力を持った味方ができたものじゃな。これでうちも安泰じゃよ」
腹部に強烈な一撃を受けたはずのウェスタが何ともなさそうな様子で戻ってきていた。
「よく無事でしたね?」
「まぁの。嫌な予感がしたから防御態勢をとっておいたのじゃ」
どうやらウェスタは世界が停止する直前にダメージを軽減する動きをしていたらしい。あまりに高度な戦いである。
「さて、長引くと両者ともに主殿の結界を破りかねんからのう。早めに終わらせるとしようか」
「そうですね。では、全力で行かせていただきます!」
そうして現世最強同士の最後の戦いが始まった。
◇◇◇
??「特に質問はありませんが来ました。連日ですね。さて、今回私が話したい内容は冥竜王、魔王についてです。あの人達ははっきりいって格が違います。強化が入って炎竜王が勝てるかもと言っている冥竜王は魂装を使う前の冥竜王です。また死霊王も魔王と並ぶと言っていますが、これもまた魂装を使用する前の魔王ですね。両者は私たちがもともといた世界であるレイズにおける原初の生物です。作者曰く、その辺の閑話ももうすぐ入るそうなので、詳細はそこまでお待ちください。私が今言ってしまっては外部設定からネタバレに早変わりしてしまいます」
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