第9話 新たな目標とスキル達

「本題に入るとするかの。あまり適当な話をしておるとまた彩佳に怒られてしまうからの」


 適当な話だったのかコーヒー派のくだり。これから仲間になる人の事だ。しっかり聞いておかないとな。


「聞かせていただきます」


「まずはステータスについてじゃが。儂らは主人格がどっちかによってステータスが変わるのじゃ」


 人格によってステータスが変わる? ああ、なるほど、スキルの効果の一部か。


 おそらくだが、ロゼリアさん自体がスキルの力であり、付随して様々な効果があるのだろう。


「彩佳が主人格の際は物理系に優れておる。そして、儂が主人格の時は魔法系のステータスに優れるのじゃ」


 物理、魔法両方を活用できる効果があるということか。さすがソロでBクラスをやっていける人だ。


「なるほど……。デメリット等はあるんですか?」


「そうじゃな、かなり大きなデメリットがある」


 強力な能力なのだから、それはデメリットがあるだろうな。


「それは一体?」


「主人格が儂でなければ、魔法が使えぬ。そしてまぁわかってるとは思うが、主人格が儂の時は彩佳が行動できなくなるし、主人格が彩佳であれば儂はゴーストのような状態になるのじゃ」


 なるほど。しかし、妥当なデメリットだ。どちらか片方だけに偏ることはなくなるようだしな。


「それで今までロゼリアさんの強みを生かせなかったからパーティーを組みたいということですか?」


「それもあるのう。まぁ儂は話せばわかってくれる人はいるとは思うが、どうやら儂が見えないものには彩佳の姿が変わって見えず、ただ口調が変わっただけに見えるようでの。それが嫌だってことで今まで一人だったのじゃ」


 なるほど。いろいろ納得した。


「ステータスの詳細じゃが……彩佳によると、大体平均3000程度、両人格の入れ替えによる最大値は5000程度との事じゃ」


 ちょっと待て。ステータス高すぎじゃない? 大体6倍くらいあるんだけど。


「す、すごいですね」


 追いつけるように努力しないとおいていかれるぞこれは。新しく目標ができたな。


「まぁ今のところは以上じゃの」


 その言葉を言ったところでロゼリアさんの体が輝きだす。


『追い出されてしもうたわ』


「ということです。奏多さんのスキルについて聞いてもいいでしょうか?」


 目の前には三並さんと、その隣にロゼリアさんがいる。


 ロゼリアさん、多分今は精神体なのだろうが、全く持って先ほどとの違いがわからない。


「僕のスキルについてですね。まず、他人に言わないことを約束していただけますか? 僕も三並さんたちのことは誰にも言いませんので」


「当然そうしますよ。これから仲間になるんですから」


『儂は誰かに話す手段がないのう』


 三並さんの優しい言葉に心温まりつつ、ロゼリアさんの自虐のようなセリフに苦笑いする。いい人達だな。


「では話しましょう。嘘だと思うのも無理はないと思うのですが、僕はスキルを所持しています」


 <???>についてのカウントは面倒だから、数については明言しない。レベル255で解放とかないようなものだしな。


「スキルを複数ですか?!」


『常識破りじゃのう』


 ロゼリアさんは冷静だが三並はなかなかいい驚き方をしてくれた。まぁそうなるよな。


「一つ目のスキルは『鑑定』です。しかも特別製で、これのおかげでロゼリアさんが見えています」


「鑑定ですか! 探索においてかなり強気に出られますね。見たことない魔物に関しても対応策を見つけられます」


 さすがはBクラス探索者。生粋の探索者のようで、俺のスキルの活用方を即座に考えている。そんな三並さんに驚くべき情報を。


「ダンジョンに出てくる魔物、大体全部わかりますよ。ダンジョンそのものに鑑定が効果あるので」


「えっ!? そんなの公表したらいろいろなところから引っ張りだこじゃないですか!?」


 確かに複数ある能力ばかりに目がいっていたがこれもなかなかやばいな。


「公表はしない方針ですから...」


「そ、そうですね」


『公表なんてことをしたら面倒ごとに巻き込まれる確率が100%になるしのう』


 その通りだ。まだ俺も未熟だからな。死ぬ確率もあがってしまう。


「二つ目のスキルですが、『成長補正』といってレベルが上がる速度が3倍になって、レベルが上がるときに上昇するステータスの上がり幅が倍近くになります」


「人の6倍成長するってことじゃないですか!?」


 要素は違うが見方によってはそうなるな。で、成長補正に関してはこれ以上いうことないな。


「三つ目ですが、多分一度は耳にしたことがあると思いますが……。『剣聖』のスキルがあります」


「ロゼリア、私は今『剣聖』に驚いていない自分に驚いているんだけど」


『仕方ないのう。前二つがぶっ壊れすぎるのじゃ』


 なんか驚きを通りこして呆れられている気がするが...。まぁあと二つあるから?


「四つ目になります。僕が一番気に入っているスキルです。『ランダムブレス』というスキルで、簡単に説明すると、火、水、風、土、氷、雷、光、闇全種類の魔法が使えます。デメリットがあるんですがかなり強力です」


『八大属性をすべて扱えるのじゃな。デメリットはなんじゃ?』


「あ、頭が痛い」


 三並さんの頭の情報処理が追い付いていないなこれは。じゃあ、このスキルに関して実演してみせよう。


「ランダムブレスを発動するとこのように魔法陣が出てきますが、その属性は事前に選ぶことができません。今回勝手に出てきたのは風属性ですね」


『なるほどのう。面白いスキルじゃ。序盤で通信交換で手に入れたレベルがとても高いポケ〇ンみたいじゃのう』


 なんだその例え方。でも確かに、言い得て妙かもしれないな。


「しかし、このデメリットは解決しました」


『先ほどから魔法陣を消してないのう。...まさか。そんなことができるのか?』


 ええ、できますとも。


「最後のスキルは『キープマジック』。魔法を保存することが可能です。多少魔力を消費しますけどね」


『両者ともに単体ではのし上がれないスキルじゃが、二つが同時に同じ者に発現するとこれほどまでに強力になるのじゃな』


 シナジーの塊でしかないスキルたちだよなぁ。そういえば三並さんは何を……。


 三並さんの方を見ると優雅に紅茶を飲んでいた。


「あ、奏多さん、魔法のお話は終わりました? 魔法の話は分かりませんから、ロゼリアに任せているんです」


『初耳じゃが』


 本当、面白いなこの人達。

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