第8話 ウチのオトン、そろそろ子離れしぃや!
はぁ〜っ、今日はなんや色々あったけど、楽しかったわぁ、あんさんの家族とも仲良うなれたし、東京も捨てたモンやないなぁ!
あんさん家からの帰り道、家族の温もりで心がぽっかぽかな中、家に帰る。
ガチャ、……アレ? オトン帰っとる!
扉を開けると仁王立ちのオトンが居た!
二メートル近い背ぇの高さに、百キロ超えのオトンが立ちはだかると、奥が見えへん。
「ただいま! ……なんやオトン、えらい早いのう! はよ帰るなら帰る言うてやぁ!」
腕を組んだオトンが低い声で言った。
「蘭華……、お前一体何時だと思ってるんだ!」
「九時やけど……、
するとオトンはウチの両肩をガッチリ掴んで、
「『九時やけど』じゃないでしょ! もう『九時』よっ、 若い女の子がうろつく時間じゃないんだから〜っ!」
何で? 何そんな怒ってるん?
「そんなウチ子供じゃないけぇ、そんな目くじら立てへんでも……」
「あぁ〜っ、まさかっ! 『東京のオトコ』にたぶらかされて遊び歩いてたんじゃないのっ?」
「んな訳あるかい! ちょいと家にお邪魔してご飯ご馳走になってただけじゃ!」
「なっ、なんですってぇ〜っ!!」
ズトーーーン!!
大きな音立ててオトンは倒れ込んでしもた。
※
「……オトン、オトンしっかりしぃや!」
ほっぺたを数回叩いたら目が覚めた。
「
ちなみに
「誰が
そのままほっぺたを数回叩いた。
「おまけに親に暴力振るう様になって、一体東京で何があったってのよぉっっ!! 莉華ぁ〜っ! ワタシもうダメェ〜っ! これからそっちに行くから慰めてよぉ〜っっ!」
オトンの首根っこ掴んで、
「オトン、たいがいにせーや! ウチもう十七やで! 子供やないけぇ、ええ加減子離れしぃや!」
「だってぇ、転勤ばっかりでお友達出来てもすぐに別れて……、おまけに変な言葉ばっかり覚えてしまったウチの娘、心配しかないじゃない! …………ん? 蘭華、友達出来たの? その子の家でご飯食べて来たの?」
「……だから言うたやろ、優しいオカンが居てほっこりしたわ♪」
そしたらオトン、ウチを抱きしめボロボロと涙を流して……、
「うぇ〜んっ、良かったぁ! ワタシ、東京に来てアナタがグレてしまったらどうしようってずっと心配だったの!」
「痛い、痛いてオトン、加減考えなアカンて
!」
それからウチは、この巨大な山に埋もれて身動きが取れへんかった。
※
「それで、その娘はどんな子なの? クラスメイト? それとも先輩? 後輩っ?」
ようやく脱出して、リビングでくつろぐオトンはすっかりご機嫌になってビールを缶のままグビグビ飲み飲み干していた。
「あ、……いや、オンナやないねん」
ちょいと恥ずかしいて、顔が赤くなってしもたら、
「おっ、オトコぉ〜っ? 何、もしかして、かっ、かっ、彼氏なのぉ? ねぇっ、ねぇってば!」
目ぇ回るて、ぐらんぐらんすんなや!
「彼氏と言えば、……そうなんやけど、ウチが友達居ないて、夏の思い出作りたい言うて『恋人ごっこ』の相手してくれてんねん!」
「そ、それって、……アンタ『逆ナン』じゃないの? いつからそんなに肉食女子になったのよ?」
だ、か、ら、目ぇ回るて、オトン!
「隣の席のあんさんと初日から気が合うてな、……その後の事は話の流れで、な?」
お酒が好きなクセに弱いオトンは、ビール一缶で目がトロけて来た。デカいカラダのクセに情けへんなぁ。
「蘭華っ、来週っ! 来週の日曜日なら休み取れるからっ! その時、彼連れて来なさいっ! ワタシが見極めてやるわっ!」
……もう、
第9話につづくさ
※※
ギリやったわ!
読んで頂きありがとうございました♪
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