下心100%の俺が本当の恋を知るまでの物語

メタフィジカル

第1話 出会い

 春、それは出会いと別れの季節。

 ここ私立舞風高校しりつまいかぜこうこうもまた出会いと別れを繰り返していた。


「下田お前また振られたの?高校入学してからまだ一カ月も経ってないだろ」


春人はるとはいいよな。中学のころから付き合ってる笹田さんも同じ高校で」


「あぁ、寧々ねねとは春休みの間に別れたよ。まぁ新しい彼女出来たから特に問題ないけど」


 春人は屈託のないさわやかな笑顔でそう答えた。


「はぁ!? 別れてたことにも驚きだけど、新しい彼女ってお前…。まだ高校入学して一カ月も経ってないだろ…」


 この男、軽井春人かるいはるとは中学のころから謎にモテる。

 いつも俺とつるんでたのに何故かクラスの評価では俺より二つ上の三軍に属していた。お世辞にも顔はイケメンの部類には属さないと思うんだが…


「で、新しい彼女はどうやって作ったんだよ」


「そりゃ、まずクラスのグループLINEに入るだろ?クラス内の女子にとりあえず話しかけるだろ?そしたら、ほら出来た」


「ほら出来た。じゃねえだろ!! 三分クッキングじゃねえんだよ。ていうかこのクラス、グループLINEとかあったのかよ…」


 俺は春人とここまで差があったことにすごく気分が落ちてしまった。あとグループLINEの存在…


「下田はさ、上ばっか見すぎなんだよ。えり好みせずにとりあえず付き合ってみろよ。それでヤれたらお前も本望だろ」


 俺は何でこんな奴がモテるのか疑問に思いながらも参考程度に話を聞き続けた。


「とりあえずそうだな…。肉倉ししくらとかどう?」


「いや、肉倉って誰だよ」


「ほらあそこに座ってる地味系の。たしかグループLINEにも入ってなかったからどういう子なのかは知らないが、だと思うぞ」


「お前それどういう意味だよ。いやでも、あいつはないだろ…」


「えり好みは?」


「……しない」


「ほら! 行ってこい!!」


 正直、気は向かないが重い腰を上げ彼女の席に向かった。


「あのー…」

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