28. 2回目の収穫

 クーオからケットシー製の肥料を受け取り2回目の耕作が始まった。

 ケットシーの肥料は種を植える前とある程度育ったあとの2回まいた方がいいらしいので、種まきをする前に一度小型ドローンを使い畑に散布する。

 ケットシーの肥料に液体肥料があって助かったよ。

 小型ドローンで散布できないと肥料をまくだけで何日かかるかわからない。


 肥料まきで2日を費やし、いよいよ種まき開始だ。

 種は前回収穫した麦の中から選別した物を使う。

 種麦の選別方法はホーフーンが知っていたのでそれを習った。

 上手く行くかは未知数だけどホーフーンも嘘は教えないだろうし大丈夫だと信じる。

 僕だけじゃこの畑を耕すなんてできっこないからね。


 種まきが終わって10日後、生長した麦は前回よりも太くたくましいものとなっていた。

 肥料ひとつでここまで違うんだ。

 さすがはケットシー製の肥料、レベルが違う。

 ホーフーンによれば、そろそろ2回目の肥料をまく時期らしい。

 今回も小型ドローンが大活躍だ。

 畑に入らず肥料をまけるから間違えて麦を踏みつける心配もない。

 本当に便利な農業機器である。


 そして、適宜水まきなどをしながら迎えた収穫時期、麦畑には前回よりもはるかに多くの麦の穂が見てとれた。

 本当にケットシー製の肥料ってすごい!


「いやいや、ケットシー製の肥料といえど、ここまで結果が変わることはないですにゃ」


「そうなの?」


「まあ、収穫量が上がり病害虫に強くなるのは知ってましたがにゃ。ここまでとは思いもしませんでしたにゃ。世界樹の森の効果はすごいにゃ」


「そうなんだ。でも、早く収穫しないといけないね」


「そうですにゃ。コンバインとトラクターを出すにゃ。麦の収穫開始にゃ!」


 僕たちは前回と同じように手分けして麦の収穫を行う。

 でも、やっぱり麦の量が多いのか、すぐに麦を入れた籠が満杯になってしまうのだ。

 それでもなんとか麦の収穫を終え、結果的には前回の倍近い小麦を得ることができた。

 途中から見に来ていたクーオもこれには驚いていたよ。

 順々に乾燥機に入れて乾かし製粉機で小麦粉にしていったけど、こんなに売れるのかな?


「大丈夫ですニャ。食料はあればあるだけ売れますニャ」


「そうなの、クーオ?」


「はいですニャ。こう言うとあれなのですが、世界的な食糧不足はかなり深刻ですニャ。ここで生産している小麦粉の量では焼け石に水というのが本音ニャ」


「そこまでひどいのですかにゃ、クーオ」


「ひどいのですニャ、ホーフーン様」


 僕たちはなんとも言えない顔になってしまう。

 今回僕たちが作った小麦は小さな村で作る小麦の量よりも多いそうだ。

 でも、それだけ作っても世界全体が食糧不足なので焼け石に水、明日の食事に困る人たちはあとを絶えないらしい。

 僕たちでなんとかしてあげたいけど、出来ることはないかな……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る