27. 『小型水耕栽培基地』稼働

「ニャ。これが『小型水耕栽培基地』ですかニャ?」


 ひとしきりお風呂を満喫して一晩泊まったあと、僕たちはクーオを引き連れ『小型水耕栽培基地』までやってきた。

 クーオには『小型』と言いつつかなり大きい施設だと事前に説明していたはずだが、それでも想像以上に大きかったらしい。


「これに魔石が必要なんですニャ?」


「メイン動力だけは魔石なしでも動くみたいなんだ。でも、サブ動力が動かないと『水耕栽培』っていうのが出来ないんだよ」


「なるほどですニャ。魔石の在庫はあまりないのですが、ある分はお譲りしますニャ」


「ありがとう、クーオ」


「その代わり、私も動いているところを見たいですニャ」


「構わないよ。中に入ろう」


 僕たちは建物の中に入り『主動力室』には向かわず別の部屋へと向かう。

 行き先は『制御室』だ。

 ここで魔石や作物の管理を行うらしい。

 早速、入ってみよう。


「ここが『制御室』ですかにゃ。モニターがいっぱいにゃ」


「『モニター』?」


「古代遺跡にある別の場所や記録データなどを映す映像装置にゃ。でも、ここまでたくさん集まっている場所は見たことがありませんにゃ」


 うん。

『制御室』にはモニターがたくさん並んでいた。

 ほとんどのモニターは黒く染まっているけど、これはなにも動かしていないからだろう。

 なにかを作り始めれば変わる……はずだ。


「バオア様、魔石はどこに置くニャ?」


「あ、うん。魔石は……あっちの装置の中に入れて」


「わかったニャ。……全部入れましたニャ」


「こっちにも魔石が投入されたって表示が出たよ。これで水耕栽培基地を動かせそうだ」


「早く! 早く動かすニャ!」


「わかってるって。……ふむ、いろいろと作る作物を選べるみたいだ」


「どんな作物が作れますニャ?」


「ええと、『サニーレタス』、『ミニトマト』、『イチゴ』だって」


「どれも聞いたことのない作物ですニャ。とりあえず全部作って味見をしてみましょうニャ」


「わかった。では、生産開始!」


 僕が制御盤で指示を出すとモニターが点灯し別の場所の光景が映し出された。

 棚がたくさん並んでいてそこに水が流れ込んでいる。

 その棚には小さな穴が開いておりなにかを挿せるみたいだ。

 でも、今の段階だとなにに使うかわからないな。


「ニャ。あれはなんニャ?」


「よくわからない。栽培で使う装置みたいだけど……」


「ホーフーン様はわかりますかニャ?」


「吾輩にもわからないにゃ。使われるときを待つしかないにゃ」


 それぞれの栽培には10日から15日ほどかかるみたいなので、クーオは次の麦の受け取り時にこれらの作物の状況も確かめることとなった。

 一体どんな作物が出来上がるのか、僕たちも楽しみだ。

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