戦闘力が無い俺が妖怪ハンターをしていける理由

みーさん

プロローグ

月明かりだけだ照らしている空き地に


「おい、あそこに隠れていろ!」


「わかった………」


二人の声が響いていた


一人は20代位に見える男性で背は高いがいかにも現在っ子らしく力はあまりなさそうだ、武器らしきものを手にして何かと向き合っている


もう一人は小学生位に見えるが………かなり離れているからわからない


それに気のせいかお尻尾が見えたような


男は少女が隠れたのを確認すると


「さてこれからどうするか……だな」


男は得たいのしれないモノと対峙しながら考えだした


何故こうなったのかは一日前に戻る


昼下がりの事務所に


「お腹空いた!何か食べたい」


少女の声が響き渡った


「もう少し我慢しろ、今日のが片付けば大金が入ってくる」


「そうなんだ、でもどうやって倒すの、相手は妖怪なんでしょう、あなたは見えるけど倒せないんでしょう」


「………そうだ」


俺はある事がきっかけで左目だけ妖怪や幽霊等が見えるようになった


普段は眼帯をしているが瞳が緑色になっているらしい、自分では見えないからわからない(ちなみにあまり鏡は見ない)


見えるだけでそれ以外は普通の人間である


妖怪や幽霊を倒す事は出来ない


だから


「俺にはあの子がいる……あの子がいればなんとかなる……筈」


「………お嬢様だよりなんだ………でそのお嬢様は何処に?」


お嬢様……名前は千年坂京香


後で詳しく話すが妖怪や幽霊を倒す事ができる人物


「知らない」


「はぁ〜〜〜知らないの!もし来なかったらどうするの」


「確かに来ない可能性も………ありうるが………俺はお嬢様を信じている………来なかったら一緒に死のうね」


「嫌よ!こんなくだらない人間と死ぬなんて……まっぴらゴメンだわ」


「そうだろうな、俺もこんな少女とは一緒なんて嫌だな」


「……………………………………」


「そう睨むなよ、そうならない様にお嬢様には来てもらわないとな」


「………そうね………それしかないわよね………それより今日の場所は何処」


「神社のそばに空き地があるだろ」


「あるね」


「そこに出るらしいから退治して欲しいと依頼されたんだよ」


「でいくら貰えるんだ」


俺は懐から紙を取り出すと少女に渡した


「おいこれ……マジか……凄いな」


あまりのゼロの多さに驚いているようだ


「絶対に成功さそうな」


で今に至る


前にも書いたが俺には見えるだけで倒せない


この武器もただ構えているだけ


要するに見せかけである


「お嬢様はまだ来ないの!」


少女は少し顔を出して絶叫している


「もうすぐに来るだろう」


しかし本音は半分は諦めていた


こんな駄目な男………見捨てられたかも知れない


怪物がゆっくりと近づいてくる


(やはり妖怪退治は早かったかも知れない)


出鱈目に武器を振ってみるが倒せる感覚が無い


(ゴメンな少女、お嬢様が居ないとやはり無理だわ)


怪物がゆっくりと手を上げるのが見えた


振り下ろされたら確実に殺られるが怖くて動けない


ゆっくりと目を閉じてその時を待ったが


その時だった


「何諦めているの?馬鹿哲郎」


ゆっくりと開いた視界の前に怪物の腕を止めて京香はいた


今更遅いが俺の名前は川中哲郎


目の前に居るのが前にも書いたが


千年坂京香………怪物や幽霊を倒せる唯一の人物


これも遅いが隠れているのは人間ではなく狐の少女………俺についているらしい


「お嬢様………遅いぞ」


「でも来たんだから有り難いでしょう、ほめて、ほめて、ほめなさい」


えっと………ほめないとやばい気がする


嫌だけど………嫌だけど………


俺は京香の頭をなぜながら


「ほんとにありがとうね京香」


「こら!頭をなぜるな」


言葉は怒っているが満面の笑顔である


「哲郎、こんな相手に苦戦するとは……終わったら鍛え直してあげる」


「全力でお断りします」


何か死にそうな気配がした


「(ちぃ!)さあ早くあの狐の側に逃げなさい、あとは私が殺るから」


そう言われて狐の側に来ると


「お嬢様が来たからもう安心だね」


「そうだな………安心……だな」


考えてみたらこいつも妖怪、戦ってくれたらいいのに


戦う姿は見たことがない


もしかしたら俺と同じ戦闘力ゼロなのかも知れない


「何時まで隠れているのかしら?もう終わったわよ」


えっ?終わった?早くない


恐る恐る見た空き地に怪物の姿は無かった


「哲郎、今日の夕食は何かしら」


ルンルン気分で歩きだした京香


「さあ行くか……狐の少女」


「そろそろ名前くらい覚えてください、私の名前は美月……覚えた?」


「わかりました、美月帰るか」


「 はーーーーーーーい」


京香はかなり先に行っている


「ねぇ哲郎、一つ聞いていい」


「なんだ」


「千年坂家と言えばなかなか屋敷から外に出ないと言われていますね」


「確かに言われている」


ある村に屋敷を構えているが村人さえ姿を見たものは数えるくらいしかいないと言われている


「 そんな千年坂家の京香さんとはどのように会ったんですか?」


「………長くなるから帰ってからでいいか」


「いいですよ」


「二人何をしているんですか!ダッシュで来なさい」


俺と美月は顔を見合わせると溜息をつき少し早足になった








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