第70話 乾杯っす。




――コミケが無事終了し、撤収。そして秋葉の予約してくれた居酒屋へと来ている我々三人。



「ではでは、今回も無事にコミケ参加を終えられた事を祝しまして!乾杯〜!」


「「かんぱーい!」」


秋葉に続きグラスをあげる私と美心。ちなみに秋葉はビールで私は烏龍茶、美心はリンゴジュース。


「いやはや、家族そろってのお食事はテンションがあがりますなぁ!」


とてもご機嫌な美心ちゃま。にこにこと可愛いね。


「いやまて蓮華がおるやろ」


「うおっ、姉としてあるまじき発言!やばば......」


「んお、蓮華さんてあの子か。リンネちゃん。そーいや美心さん蓮華さんと仲直りできて良かったねえ」


「ありがとーパパ!」


秋葉って確か24とかそこらだったよな。そして私は21.....それをJKがママ、パパ呼び。はたから見るとカオスすぎるな。


「あれなら二次会に蓮華さん呼ぼーよ」


秋葉が言った。目がとろんとしている。相変わらず酒弱いな......至乃夏とは大違いだ。あ、そだ。まだ至乃夏の話してないや。後でしとこ。


「でも、忙しいんじゃないかなぁ蓮華」


「あ、配信してるかにゃあ」


「んーん。今日はお休みしてるみたい......にゃあ?」


でたでた、秋葉は酔うとあざと可愛くなるんだよね。この容姿もあって多くの男性経験があるんだろうな、って思っていたけど、人見知り故にお付き合いどころか男性のフレンズも居ないみたい。


「うっへい、ママ!アリス、リンネ、二人共すっごく頑張ってるにゃあ!なんならもう一人つくっちゃう!?」


そう言いながら私の二の腕に抱きついてくる。


「おま!?やめーや!!なんか言い方ダメじゃねそれ!?」


「おわっ、パパ!!ママとベタベタすんなーーーっ!?」


「にゃははは!!愉快愉快〜」


いやもう一人は作るけども、この流れで言い出すのは危険な気がする。主に私の命が。


「ちょっと、はい!あいだ空けてーっ」


ぐいっと私と秋葉のあいだに入り込んでくる美心。今度は美心が私の腕に組み付いてくる。む~っ、っとジト目で秋葉を恨めしそうな目で見る美心。


「うへへ、美心ちゃん!」


「のわっ!?」


その美心の二の腕に組み付く秋葉。仲良しかっ!


「んでんで?どーするのかにゃ?蓮華さんは来てくれるのかにゃあ」


「ん、ちょっと連絡してみるね。あ、パパ、ついでに連絡先教えて」


「あーい!」


なんか微笑ましいな。


「ちなみに秋葉。二次会って今回どこいくの?」


「私のとったホテルで飲むにゃん」


「なるほど」


「あ、メール返ってきた。行けるってさ!」


「おお」


「わーい!妹ちゃんといちゃいちゃするにゃあ!!」


「あのそういうお店では」


「へ、変な事しないでよパパ」


「うへへへ」


「笑い方美心っぽいな。さすが親子」


「!?」


そんなこんなぐだぐだとやっていたら、料理が運ばれて来た。


べたべたと連鎖的に抱きついている私らをみて料理をはこんできた店員さんがギョッとしている。なんか、反応に困る状況でごめんなさい。


なにも見なかったかのような振る舞いで料理を置いて出ていく店員さん。


「わあ!焼き鳥うまーっ!!」


「そーなのにゃ、ここの焼き鳥はちょーうまいにゃ!!」


二人共全く気にして無いんだけど。すげえな。


「ほらほら、ママも早く食べないと無くなっちゃうよ〜」


「あ、うん食べる食べる」


「もしかして食べさせて欲しいのかにゃ?まったくこれだから欲しがりさんは〜」


「いや食べるっつってんでしょーが!」


あれ、まって......これ私しかツッコミおらん感じか!?ヤバくねこの状況!?


「ところで、りんりんちゃん」


「人を自転車のベルみたいに言うな。私は倫だ」


「失礼、噛みました」


「違う。わざとだ」


「かみまみた」


「わざとじゃないっ!?」


「秋葉みた」


「なにをみた!?」


「だっははは、ウケるねママとパパはぁ!」


ウケるのはいいけど、お前の笑い方ヤバない?だっはははって人の笑い方で初めて聞いたんだけど。


「いや、秋葉なに?先を言え先を」


「あー、うんにゃ。大したことじゃないんだけれど......まあ、あれにゃ」


おくちをもにょもにょする秋葉。猫っぽい。


「ど、どした?言いにくいことなの?後にしようか?」


「あー、いあいあ」


手を振り、ん、んん、と咳払いした。


「......あー、倫、美心さん。ありがとね」


きょどきょどする秋葉。かわええな、こいつ。


「ど、どーした急に......熱でもあるんか?」


「にゃいよっ」


「酔っ払ってるんか」


「よっぱらってるよっ」


にゃっはー、とにんまり笑みを浮かべる秋葉。


「あんまりねえ、こういうのは恥ずかしいかさぁ。酔った勢いでしか言えないからねえ......。スレの人達はもちろん、二人には特に感謝しとるんよ。ありがとね、パパにしてくれてさ」


えへへ、と鼻をこする秋葉。かわええ。いや、つーかお礼をいうのはこっちだ。Live2Dのモデリングを無料でしてもらっちゃって......しかもリンネのまで。(あと多分、至乃夏のも)


と、そんな事を思っていたら美心が秋葉に飛びついた。


「何言ってるのパパ!こっちの台詞だよ!!」


「にゃはっ!?」


「あたしがここまで大きくなれたのは間違いなくパパの力があってだよ!パパが愛情を込めてアリスをモデリングしてくれたから、ママの絵に命が宿った......だから、ありがとう!」


「「!」」


美心が私と秋葉の手を握る。


「ママ、パパ......あたしを生んでくれてありがとう」



......あっ、あー......やばい。これは、やばいぞ。目頭が熱くなる......あかん。耐えろ、私。




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