第45話 おもしれえなァ!? 【コラボ】



七海『助かりました......ありがとう、忌魅子の仔さんアリスさん』


アリス『いえいえ』

忌魅子の仔『あいあい。それより早く逃げないと名無しの絵師さん来ちゃう』

七海『ですね!早く逃げましょう!!――はっ!?』


名無しの絵師『やあ』


邪悪な笑みを浮かべる名無しの絵師。その肩には担がれたシロネが。尻しか見えないけど、おそらくはシロネで間違いない......だって名無しの絵師の尻を触っているのが微かに見える。シロネは彼女の事が異常といっていいほど大好きだ。だからあれはシロネ。そう七海は思考した。


七海『くっ、貴様ッ!よくもウチのシロネをッ!!』

名無しの絵師『はっはっは!!助けたかったら助けなよ!ほら』


ごろんと地べたに転がされるシロネ。


七海『シロネ!!――いやなんで幸せそう!?』



『にんまりw』

『めっちゃ笑顔』

『すげー嬉しそうなんだがww』

『名無しの絵師好きすぎだろこいつw』

『www』



アリス『何してるんですか!早く逃げないと!!』

七海『はっ!』


――瞬く間に、名無しの絵師と七海の距離が詰まる。


名無しの絵師『遅えッ!!』


振り抜く巨大包丁。その切っ先が七海の腹部を掠める。


七海『しまっ――なッ!?』


横を見れば。


忌魅子の仔『――ぐほっ、ぐあああああッッ!!』


七海を切りつけそのままの流れで忌魅子の仔へと攻撃をしていた。腹部に深々と刺さる凶器。


――ガシッ!と彼女の首根っこを掴み、結界の部屋へと放り入れた。そして素早く七海も引きずられていく。


七海『ごめんなさい、皆さん......!』


がくりとうなだれる七海。その隣には忌魅子の仔とシロネが川の字になって寝転がる。


シロネ『どんまいっ!』

忌魅子の仔『そういうときもあるよ、うんうん』



『え、なんか腑に落ちないww』

『特に忌魅子www』

『こいつトイレして酒飲んでただけやんけ』

『つーか一網打尽にされてるんだがw』

『こっからどーするんや』

『残り時間じゃアリスひとりじゃ結界全ては解けないだろーし』

『名無しの絵師はこれを狙って!?』

『いや偶然だろ』

『つーかアリスは?』


いつの間にか消えたアリス。きょろきょろと名無しの絵師が辺りを伺うが、彼女の姿は無い。


名無しの絵師『ははっ、お前ら見捨てられたな?』


シロネ『そんなばかな!アリスちゃんに限ってそんことないよっ』

忌魅子の仔『そーだそーだ!きっとどっかに隠れてトイレいってるだけだよ!』



『おまえじゃねーんだから』

『いやおまえww』

『は?』

『おま』

『ちょw反省は無しww』



七海『と、とにかく足掻いてみましょう!運が良ければ二外られるはず......』

シロネ『え、そーなの?』

七海『はい!さっきは成功しなかったですが、一定確率で逃げることが出来ます!』

忌魅子の仔『まじでか!!いや、つーか作戦筒抜けじゃけど!?』


目の前で腕を組み、見下ろすように立っている名無しの絵師。勿論、今の会話は完全に聞こえていた。


名無しの絵師『いや、筒抜けもなにも......そもそもそれ、私も知ってるし』


シロネ、忌魅子の仔、七海『『『デスヨネー』』』


名無しの絵師『さて、時間切れまであと15分くらいか』


屋敷の外へと出ていこうとする名無しの絵師。



『え?』

『何処へ?』

『このまま張ってれば勝てるのに......』

『どしたどーした』

『どこいくん?』

『やはりアリスか?』

『お?』



七海『え、どこに行くんですか?』



名無しの絵師『いやあ、このまま終わってもつまらないし。アリス仕留めてパーフェクトゲームにしようと思ってね......』



シロネ『おおお!さすがわたしの名無しの絵師ちゃん。かっけえー』

七海『誰がお前のだよ!』

シロネ『!?』

七海『あ、すみません、つい......』

忌魅子の仔『ぶはっwww』




――名無しの絵師が姿を消してから5分後。



アリス『やほやほ』


シロネ『アリスちゃんっ!!』

七海『上手く逃げてますね』



アリス『がんばって撒いてきたよ......危ない場面めっちゃあったけどね』



そう言いながらアリスは部屋の結界を破壊する。解放される3人。



アリス『じゃ、忌魅子の仔さんの作戦どおりに!』



そう彼女が言うと、3人は同時に頷き四方に走り出した。それを見計らったかのように屋敷に入ってくる影がひとつ。



名無しの絵師『やっぱり戻ってきてたか......まあ、想定の範囲内だけどね。くくっ』


アリス『......忌魅子の仔さんがトイレを済ませたあと』

名無しの絵師『ん?』



アリス『酒とつまみを取りに行き戻ってきたあと、彼女は水晶の浄化に走り回っていました』


名無しの絵師『......へえ』



『え、そうなの』

『見てなかった』

『まじで?』

『やるやん』

『え、でも早すぎない?』

『忌魅子の仔はこのゲームやりまくってるから』

『酒飲みながらで丁度いいハンデ』

『え』

『まじでw』



アリス『ママもシステムでしらされたかと思いますが、2つはさっき浄化させて貰いました......だから、あと2つ!』


名無しの絵師『時間切れだよ。もう間に合わないでしょ3人じゃ』


アリス『ですね。だから、勝負です』

名無しの絵師『!!』




――アリスは走り出した。



名無しの絵師(そうか、アリスが居ればギリギリ間に合う......だから、これは私がアリスを捕まえれば私の勝ち、アリスが逃げ切り水晶を浄化できればアリスの勝ち!!)


名無しの絵師『面白え!!その勝負ノッてやんよ!!』


アリス(ポンはできないポンはできないポンはできないポンはできないッ!!)



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