お母さんと一緒にオタ活しましょうね。
白鷺雨月
第1話 どっちにする。
休日の朝、南条司はゆっくりと睡眠を楽しんでいた。惰眠を楽しんでいた司の自室にバタバタと騒がしく母親の真喜子が入ってくる。
「ねえねえ、司ちゃん。ねえったら、もう八時なんだから起きて、朝ごはん食べてちょうだい」
「もうちょっと寝させてよ、母さん」
「いくらお仕事が休みだからって、だらだらしていたらよくないわよ。ほら、起きてよ。せっかく司ちゃんのために朝ごはん作ったんだから。久しぶりに一緒にニチアサ見ながら朝ごはん食べようと思ってるのに(プンプン)」
「もう、わかったよ、母さん。起きればいいんでしょう、起きれば」
「そうそう、偉いわね、司ちゃん」
仕方なく布団から出る司。
目覚めた司は母親の姿を見て驚愕する。母親の真喜子は身体のラインがはっきりとわかるライダースーツを着ていた。
「ちょっと母さん、朝からなんちゅう格好してるんだよ‼️」
「えっ、へへん。これはね、次のインテックス大阪のイベントに着ていく衣装よ。どう似合うかしら?」
「ま、まあ似合うけど、なんでライダースーツで金髪のウイッグつけてるんだよ。メイクもバッチリしてるし」
「えへん、司ちゃんに質問よ。この衣装は誰のでしょーか?」
「えー誰だろう。うーん……」
「ヒントはね、昭和のセクシーキャラよ」
「あっ、わかった。もしかしてルパン三世の峰不二子じゃないか‼️」
「そう、正解。不二子ちゃんよ。でもこのライダースーツね、胸のところが苦しいのよね。もしかして私、不二子ちゃんより胸が大きいかもね。息苦しいからジッパーずらそう」
「ちょっちょっと母さん。こんなところで胸を出さないでよ」
「何恥ずかしがってるのよ。ちっちゃいときはよくおっぱい触ってたじゃないの。ママ、ママーっていって」
「そ、それは子供の時の話だろ」
「あらっ、二十歳になっても司ちゃんは私の息子よ。いつまでたっても司ちゃんは大事な息子なんだから。ほら昔みたいにむぎゅーしてあげるわね」
「や、やめてよ、母さん。息苦しい。む、胸の圧力で、ひっ窒息するっ……」
「まあまあ、こんなに喜んで。司ちゃん、昔はママにむぎゅーしてもらえないと寝れなかったもんね」
「わ、わかったから母さん。は、離してくれよ」
「そう、まあ、仕方ないわね。あと三十分ぐらいはむぎゅーしてあげてもよかったんだけどね」
「そんなにされたら、母さんの胸のなかで父さんのところに行っちゃうよ」
「ま、それは困るわ。司ちゃんにはこれからも私のオタ活につきあってもらわないといけないんだから。パパのところには絶対にいかないでね。むぎゅー‼️」
「か、母さん。それはもういいから。く、苦しい。ほら、もうすぐプリキュア始まるから、リビング行こう」
「あら、本当ね。プリキュア始まっちゃうわ。急いでリビングいかなくちゃ。リアタイできなくなるわね」
真喜子と司はリビングに向かう。コーヒーをいれ、真喜子は朝食の準備をする。
「ねえ、司ちゃんはお砂糖いくつ入れる?」
「あ、二つ入れてちょうだい」
「司ちゃんも甘いコーヒーが好きなのね。ミルクもたっぷり入れてあげるわね」
「母さんこそブラックなんてよくのめるよな」
「へへんっ、母さんは大人だからね。違いのわかる女なのよ。女優やってたときはCMにも出たことあるんだから」
「それやっぱりすごいよな」
「ふふんっ‼️もっと褒めてもいいのよ。ママは褒められて伸びるタイプなんだから」
「伸びるタイプってなんだよ、それ」
「そうよ、ママは伸びしろしかないんだから。その証拠に胸のサイズもあがってJカップになったんだから」
「いや、そんなことよく平気な顔して息子の前で言えるな」
「まあね、司ちゃんは私がお腹を痛めて生んだ子だから、何も恥ずかしいことないのよ。司ちゃんのことは何でもしってるんだから。この前買ってた同人誌のタイトルは……」
「ちょっとストップ‼️」
「何よ、急に口を手で塞がないでよ。痛いし、苦しいじゃない。まさか、司ちゃんはそんな性癖の持ち主なのかしら。ママ心配だわ」
「いやいや、そういうのじゃないから。また、部屋の中、勝手に掃除したな」
「だって、ホコリたまってたんだもの。それにね、司ちゃんがどんなエッチな同人誌持っていてもママ平気よ。だって、司ちゃんは男の子だもの。今度ママの秘蔵のBL同人誌読ませてあげるわね。そっちのほうにも目覚めてくれたらママ、とってもうれしいんだけどね」
「いやいや、母さんの同人誌の趣味は別にいいよ、ほら、トースト焼けたよ」
焼けた食パンをトースターから取り出し、皿に乗せる司。
真喜子はサラダとベーコンエッグを用意してテーブルに並べる。
「ほら、プリキュア始まるよ、母さん」
「本当ね、プリキュアを見ないと日曜日って気がしないわね」
「ところで、司ちゃん。相談があるんだけど」
「なんだよ、母さん」
「やっぱりこのライダースーツね、胸ところが苦しいのよね。不二子ちゃんやめて、キューティーハニーにしようかなって思うけどどうかな?」
「確かにでかい(ものすごい小声)」
「えっ、なんかいった司ちゃん?」
「母さんはラノベ主人公かよ。いや、まあ、いいや。いっそのことベヨネッタとかどうかな?」
「ベヨネッタか。それもいいわね。チャレンジしてみようかしら」
これが真喜子と司の親子のいつもの休日なのであった。
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