都道府県、今日も平和

受験生

第1話 北海道

日本の一番北にある道、、それは北海道。

新鮮な海でとれる美味しい鮭やホタテなどの海の幸が豊富だ。


「〜♪〜〜♪」

茶髪で海の様な目をし、アットゥシを着ている少年ーー北海道は今、函館港をぶらぶら歩いていた。


「今日も日本は平和だねぇ。」

近くにいる猫を撫でながら北海道はポツリと呟いた。


「にゃぁ〜。」

猫が相槌を打ってくれた。


「お前〜。かわいいねぇ〜。うちに来ちゃう〜?」


「にゃぁにゃぁ!(いや!)」


北海道には動物の言葉が分かる。

なぜか、副音声が脳内で聞こえてしまうのだ。


「え〜。なぁんでよ。」


「にゃにゃにゃにゃぁ(なんかチャラそう。友達になりたいけど彼氏にならないでほしい系)」


「なにそれ。どゆこと。」


チャラそうだなんて心外だ。


そう北海道が思っていると後ろから足音が聞こえてきた。


咄嗟に振り向くとそこには、、、


「島ちゃん!おひさ〜。」


「えぇ、お久しぶりです。北海道様。」

北海道の後ろにいたのは仙台平袴を着た黒髪に黒目の綺麗な顔立ちをした男性、、、島義勇しまよしたけだった。


「島ちゃ〜ん!いや〜いなくてちょっと寂しかったんだよ!佐賀でのパーティと休暇楽しめた?」

島ちゃんこと島義勇は先日行われた【佐賀偉人の会】に出席するため約一ヶ月佐賀県にいたのだ。休暇も兼ねて滞在期間を少し長くしたらしい。


「佐賀様にいつもの如く佐賀牛をいっぱい食べさせられました。久しぶりに【佐賀の七賢人】に会ったので興奮してしまったのでしょう。いつもの佐賀様とは少し違くて面白かったです。」


「へぇ〜。あの佐賀がね〜。いっつもクールぶってる感じだったけど、時々少年の佐賀が出てくるんだよね〜。特に佐賀県を褒めた時!」

北海道にとっての佐賀は“なんかクールな奴”なのだ。


佐賀は栗色の髪に少し薄い茶色の目をした男で少々自分が低身長なことを気にしている。


「確かに、、そうですね。、、ふふっ。」

義勇は佐賀県出身で本来は佐賀の部下になる予定だったが義勇が『すいません。佐賀様。私北海道に一度行ってみたいのです。』と言い、義勇は北海道に来た。


義勇はここにきて北海道に出会い、北海道の人格に惚れて今は北海道の部下として働いている。


「あれ、、そういえば佐賀ってどこだっけ?」

義勇は北海道の農業や商いの力は全国一番だが記憶力は全国で一番悪いと思う。


それくらいこの男は記憶力がヤバいのである。


「はぁ、、他の都道府県の位置すらまともに覚えられないなんて、、あんたそれでも都道府県なの!?」

横からやってきた青髪に桃色の目をしたポニーテールの女性は【青森】だった。


「いやぁ〜。なんか覚えられないんだよね〜。」


「信じらんない!!いい?佐賀県はね九州地方にあって、上らへんの左から二番目のところ!!長崎県の横で福岡県の横にあるのよ!」


「あ〜。あそこね。」


どうやら北海道は思い出したらしい。


「、、、青森様は本日どの様なご用件でこちらに、、?」


普通他の都道府県に会いに行ったり遊びに行ったりするには一報いれなければならない。


気軽にひょいひょい来れるわけではないのだ。


「え?、、、あ。、、。北海道!!あんた私との会議完っ全に忘れてたでしょ!!会議室に行っても全然来ないんだもの!!わたしずっと待ったのよ!信じらんない!!」


義勇は思った。


(俺がいない間に青森様が運悪く会議を予定してしまったのだろう。俺が佐賀にいるとは知らずに。)と。


なんて青森様は不便なのだろう。


「えぇ?そんな約束したっけ?」


「したわよ!!」


「すいません。青森様。わたくし一ヶ月間北海道様の補佐を外しており、、その【佐賀偉人の会】に出席していたのです。」


「、、、島さんがいなかったなら納得だし仕方ないわね。」

青森も北海道の記憶力がいかにどれだけ低いか知っている。


北海道の記憶力の無さは全国一と噂だ。


他の都道府県達も北海道の記憶は信用していない。


、、、一部を除いてだが。


「、、北海道!今から会議するわよ!!」


「え〜。俺今会議する気分じゃな〜い。」


「気分如きで会議をボイコットすることが可能だと思うなよ。」

そう言った青森の表情はくそ怖かった。


「は、、はひ。」

流石の北海道もおとなしく従うことにしたらしい。


北海道は青森にズルズル引き摺られて行った。



「わたくしの代わりを作らなければ、、。」

義勇に新たな任務がまた一つ追加された。


この男の部下というのはとても面倒な仕事なのである。



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