第17話 同行を頼もう
頼むのが相当嫌だったのか、中々寝付けなかった。目が覚めても、起き上がりたくなかった。
でも、起きなければいけない。今日は、日曜日。朝食に、大好物のオムレツサンドイッチが出る日。無駄にしたくはない。
嫌々ながら、俺は体を起こした。
とりあえず、メッセージを送る。
〈今日、買い物に付き合ってほしい〉
返事がこっちか、現実でかは分からんが何かしら返って来るだろう。
あ、そうだ。一応、会える段取りはできたから高藤先生にも連絡する必要がある。あるのだが、日曜日って休みだよな?ってことは、連絡取れなくないか?と、頭をひねったところで思い出す。
あ、web予約でいいんだった。良かった、良かった。夏休みの始まる18日でいいか。
よし、朝食を食べに行こう。
――――――――――――――――
オムレツサンドイッチは、本当に美味しい。寮を出るまでに、作り方教えてもらおうかな?
そんなことを思いながら、部屋へ帰るため階段を上る。
部屋の前に人影が見える。誰だ?
一翔だ。
「何か用か?」
「用って、呼んだのはそっちでしょ?買い物は全然付き合うけど、どこ行くの?」
「あぁ、とりあえず部屋で話していいか?食べたばっかで、立ってるのきつくてな」
部屋へ案内する。
嬉しそうに部屋を見回している。お前の部屋も、大して変わらないだろ。そう思いつつ、来客用の折りたたみ椅子を用意する。
「で、どこ行くの?」
「あー、これは笑わないで聞いてほしいんだが、お前メンズメイクとか美容とか詳しいだろ。それを俺に教えてくれないか?」
「どうして?頼みを聞くんだから、こっちも聞いていいよね?」
はぁ、しょうがない。腹を括るか。俺は理由を伝えた。
「は、はははははは。マジで!?いや、ごめん。笑うなって言われても、笑っちゃう。そんな神妙な面持ちで、何言うかと思ったらこれ?ボクだってね、真面目な話だったらからかわないって。それくらいの礼儀はわきまえてるつもりだよ」
「こんな笑っておいて?」
「だから、ごめんって。どういうのがいいの?ガッツリとメイクしてもいいけど、求めてるのはそっちじゃないんでしょ」
「あ、あぁ。ちゃんと、身だしなみにも気を使ってるんだなって思ってもらえる感じのってできるか?」
「任せてよ、これでもこの春から読者モデル始めたんだから」
「待て待て、何だって?読者モデル?聞いてないぞ」
「あれ、言ってなかった?ずっと誘われてて、3年になって校則緩くなったでしょ。だから、このタイミングで始めてみた」
ほら、フォロワーさんもこんなにいるんだよと見せられたスマホには、0が4つ並んでいた。お前、本当に何なん?
その後もなんやかんや話した結果、ハチャメチャに安いでお馴染みのディスカウントストアに向かうことになった。同じく読者モデルをやっていて仲良くなった人が働いているらしい。さらに、その人の勤務がお昼過ぎには終わるということで服選びにも付き添ってもらえることになった。
友達の友達って、一番どうふるまっていいか分からない。
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