第79話
「ほうほう・・・ワイがいない間にそんな事があったんやな。へぇ・・・そうでっか、ワイ抜きで国を立ち上げを・・・」
ダンジョンの建国計画が決まった後会議は一度締め建国に当たっての問題点などの洗い出しの為に皆は動き出した。っとまあいい雰囲気に向かっていたのだが一名その場にいなかった事をその時忘れてた。
「いや・・・まさかここまでトントンに決まるとはおもっていなくて・・・すまんゾア」
会議の後才をジェコネソへ送り届けた時何も知らないゾアを見た瞬間思い出し、ダンジョンで何が起きたかを説明するとゾアは随分と不機嫌になっていた。ちなみに屋敷に来ていたワイトはテンションが上がった状態で中を探索しまくり、疲れたのか眠っている。
「まあワイも建国については大賛成やし交流は色んな発見もあるやろうし」
ゾアの賛同も得られた事で満場一致でダンジョンの開国計画が進む。
「そうや、コウキさん達が戻っている間にウィリアムはんが屋敷に来たんやった」
「ウィリアムさんが?」
「まずギルド関連やけど、コウキさんやワイら宛の手紙とかはここに届くようになったそうや。といってもワイトコウキさんはメンバー登録だけやからギルド主催の行事の連絡の手紙くらいらしいで」
まるで会員限定の広告だな。しかしギルドに登録するとこういう仕組みになっているのか。
「そんでこれはテオプアの姫様からの手紙やねんて」
っちょ!なんかとんでもないものを渡されたんだけど!広告の次に王族からの手紙って差がありすぎだろ!
「なんでも今度王都で開かれる夜会の招待状ってウィリアムはんが言っとたで」
「ああ・・・姫が主催する立食パーティーか。もうそんな時期なんだな」
隣で聞いていた才は慣れた様子で言っているが俺はそんな余裕はないぞ!
というか夜会って事は貴族や富豪達が集まるパーティって事?
正直断りたい・・・だが建国計画もあるしテオプアとは良い関係を築くとしたらこれは参加すべきなんだよな。
「マリーの件もあるんやしどの道王都には行くんやからついでに参加もアリやないかな?」
「そうだなついでに参加すればいいだろ」
工場見学のついでで王族主催の夜会に参加って・・・
「まあ『ついで』はともかく王都には行きたかったし、建国計画として顔合わせはした方が良いよな」
手紙を開いて中身を見ると俺、ゾア、マリーの名前がしっかりと書かれており、他に希望者数名の同行もOKだそうだ。ジョージとテスラはここでしばらく修行するだろうし、ワイトはどうなんだろう?
「開催日は2ヶ月後か・・・まだ少し時間はあるな」
参加希望者はダンジョンに戻ってから皆で話し合うとしよう。
「それじゃ俺はこれで失礼する・・・光輝、今度は仲間と一緒にダンジョンの案内を頼む」
「ああ・・・その時にはもっと発展した姿を見せるよ」
才はそう言い残し屋敷から去り、残った俺達は皆を集めてダンジョンの今後の方針を伝えた。
「なるほどダンジョンの建国計画ですか」
「そうだからジョージ達も自分達の技術を磨いていって欲しい。それで定期的にダンジョンの住民に技術や知識を教えて欲しいんだ」
「分かりました・・・その役目引き受けました!」
ジョージとテスラはやる気に満ちた様子で頷き、ワイトも楽しそうに話を聞いていた。特にワイトは王都の学校に行くわけだしどういう事を勉強したかとか教えて欲しいが下手に役目を意識させるとスパイとか疑われそうだから「学校を楽しむように」とだけ伝えておく。
「そういうわけだからしばらくは俺とゾアはダンジョンに戻ろうと思う。俺達宛の手紙とかが届いたら連絡を入れて欲しい」
「了解しました」
とりあえず屋敷はジョージとテスラに任せて大丈夫かな。
今後テオプアに行きたい住民が来たらこの屋敷で寝泊まりしてもらう予定だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなこんなでダンジョンに戻ってきた俺達。ワイトは先に王都へ行く準備として私物をまとめるとすぐにジェコネソへ戻っていった。トーマスの指導とか相当楽しみなんだろう。
そして俺はというといつものように作業部屋に籠ってある実験を行っていた。
「・・・デューオ準備はいいか?」
「いつでも大丈夫です」
デューオの確認を取り、俺は『出現』ボタンを押すと彼の前に複数のゴーレムが現れる。ストーンゴーレム、アイアンゴーレム、シルバーゴーレム、ゴールドゴーレムっと定番のゴーレム達が一斉にデューオに襲い掛かるも彼は華麗に攻撃をかわし渾身の拳で次々と粉砕していく。
一体、また一体と崩れ光の粒子となって消えていく度にデューオはモニターを開きあるパラメーターを確認した。
「ストーンゴーレムが10ポイント、アイアンゴーレムが100ポイント、シルバーゴーレムが1000ポイント、ゴールドゴーレムが10000ポイント、計11110ポイントがモニターに表示されました」
「よし・・・それじゃ次はこの装置の『1500』と表示されているボタンを押してくれ」
俺の指示に従いデューオはすぐそばに置いてある大きな箱型の装置に近づき、ボタンを押す。すると箱型の装置の下の方にある取り出し口から果物が出てくる。
「ポイントは1500減って、9610になっています」
「OK、じゃあそのまま7回押してくれ」
デューオが同じボタンを7回押すと6回目までは同じ果物が出てくるが7回目でボタンが赤く点滅し『ポイントが足りません』というメッセージが装置から表示される。
「残高は?」
「610ポイントです」
「それじゃ次は600ポイントを」
「残高は10ポイント」
「それじゃ、他のボタンを連打してくれ」
「はい」
デューオがボタンを連打するとボタンが何度も赤く点滅し、これを10秒間続けると警報音が装置から発生される。それでもデューオは止めずに続けると装置からレーザービームが発射しデューオに襲うも瞬時に後退して回避する。
「警報システムも問題無しと・・・お疲れ様」
「お役に立てたなら光栄です」
デューオは涼し気な様子で答えるがゴーレムの強さは弄っていない。つまりダンジョンに出現するゴーレム集団をデューオは拳一つで倒してしまったわけだ。改めて彼の強さを知った俺だが同時にこういった実践を組み込んだ実験にはとても頼りになる。
「とりあえずポイント機能もちゃんと加算されたわけだし、これでダンジョンの通貨として利用できそうだな」
そう、今回の実験はダンジョンでの流通において重要なポイントシステムのテストである。ゲームなどでモンスターを倒すとお金を入手できる仕組みを作りたかった俺はダンジョンモンスター達に倒すとポイントが加算するようにしてみた。
自国の通貨を持つ国もある以上、お金としてエーヌを使用するのは不平等である事と取引でも色々と面倒な事になりそうだと思い、いっそのことこっち専用の通貨を用意する事にした。
ステータスに反映されるポイント制の導入は我ながら良いアイディアだと思った。
これにはいくつもの利点がある。
・金貨や銀貨などの貨幣が存在していないため、それに使用する金や銀などの資源を使用しないで済むこと。
・ステータスに反映されるため通貨の偽造がそもそも不可能であること。
・貨幣ではないため物量など気にせずにいられること。
・明確な数字が表示されるため取引がしやすい事。
等々
「ポイントの分配とかまだまだ課題はあるけど少しは見えてきたかな。よし次はテスターを増やしてポイントの分配のテストをするか」
建国計画という新たな目標が出来、俺は再びモニターを操作したのだった。
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