第4話

 彼女の距離が、なんかすごく近い。夢の中なのに。


「自分の夢しか変えないのは、現実に戻れないからなんだね」


 近い。息がかかりそうなほど。でも夢の中なので息はない。


「なんでこんなに近いんだ?」


「あなたの部屋で寝てるから。わたし」


 それよりも。


「なんで俺のことを」


「たまたま知った」


 たまたまで入れる部屋だろうか。


「探したな。俺を」


「いや全然」


 じゃあ、なぜ。


「悪夢をね。変えたかったの。悪夢から悪夢に飛んでいくの。ここが、いちばんの悪夢だった。覚めない夢」


「悪夢は悪夢。現実とは関係がない」


 でも。


「ここは、あなたにとって唯一の、現実、でしょ?」


 そう。そうなる。


「話してよ。あなたが目覚めるためのことを。方法があるから、夢を変え続けてるんでしょ?」


 そうなるか。どうしよ。

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