遊び場

うちのオカメさん。

放鳥中に遊ぶ、お気に入りの場所が何箇所かあります。

その内の一つをご紹介しましょう。


それは、洗濯機の上。


洗濯機の周囲に設置する、ランドリーラックではありません。

何の変哲もない、全自動洗濯機のフタの上。




うちのオカメさんの起床時刻は、午前8時から8時半の間。

それまではケージの上から毛布が掛けられて、暗くなっています。

私は朝まとめて洗濯をするので、毛布をはぐってオカメさんが起床する頃には、洗濯機は大体止まっています。


洗濯機から洗濯物を出す為に、脱衣所へ移動する私の肩から、オカメさんはヒラリと洗濯機の上へ。


……あの、オカメさん?

洗濯物出したいのですけど?


手を出すと、体勢を低くして フッ!フッ!と怒ります。

オカメさんは、おバカ飼い主の家事など知ったことではありません。


……はい。

遊び終わるまで待ちましょうね。

おバカ飼い主は、退散です。



止まっている洗濯機のフタの上には、何もありません。

それでもオカメさんは、フタの上をごきげんにチャッチャと歩いては、フタの端をかじり、空気抜きの穴を覗き、羽繕いを始め、何だか楽しそうです。

何が楽しいのか分かりませんが、まあ、気に入っているのなら良いでしょう。


しかし、人間も暇ではないのですよ。

忙しい時は、怒るオカメさんをササッと移動させ、洗濯物を取り出してしまいます。




ある日のこと。


洗濯物を干す為に、私は二階へ。

間違って外へ飛び出してはいけませんから、オカメさんは一階でお留守番です。

干し終わって、ベランダから室内へ入ると。


ビョーッ! ビョッビョーッッ!


大変です!

助けを求める叫びが聞こえるではありませんか!


何事かと急いで一階へ下りると、オカメさんが見当たりません。


ビョーッ!!


ん?

何だか籠もった声です。


我が家の洗濯機は、フタがパカッと開いて、半分に折れて立つ形です。

……はい。

オカメさん、空の洗濯槽を覗き込んで、中に落ちてました。

洗濯槽の幅では、飛んで出ることが出来なかったようです。


『おかあしゃん、タスケテ〜!』

洗濯槽の底でのあんまりにも必死の様子に、思わず笑ってしまいました。

ごめんなさいね、オカメさん。




今でも時々、フタの開いている洗濯機を覗き込むオカメさん。


こらこら、また落ちますよ。

そう思いつつ、落ちる瞬間を見てみたい気もする、おバカ飼い主なのであります。


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