鋼鉄人六号/電車に乗って殺しに行くよ
熊の臓物や血潮で汚れたまま改札を通り抜け、電車に乗った。
私の乗った客車からは徐々に人が去っていった。全身血だらけの者と同じ客車には居たくないからだろうか。
「どうも初めまして。自分は鋼鉄人六号です。
人の去った客車に奇妙な風体の者が入ってきた。
鋼鉄人六号は服屋の店先に並ぶマネキンのような者だった。頭部はネコ科の動物のように見える。手には砲身三本の機関砲。私も普段ならばこのような反社会的勢力に見えるような者と同じ客車に入りたいとは思わない。
「
鋼鉄人六号からは濃厚な殺意が匂っていた。殺意は生物や怪異しか発することはない。機械は殺意を持たない。ならば彼は生物だ。
「はい」
鋼鉄人六号の何処かから無色透明のガスが放出されたようで、私は床に倒れた。
全身の穴という穴から血が流れ出ている感覚がある。床は私自身の血で染まり真っ赤になっていく。段々と意識が朦朧としていき、どうでもいいことが思い出される。
走馬灯というものだろう。
『ジャガイモの毒って加熱したら無毒化できないかな』
「ここで死ぬわけにはいかないな」
体温を上げて毒を無毒化した。血潮は煮えたぎり意識も朦朧とする。
倒れて二秒で立ち上がる。体温の上昇は賭けだった。熱で無毒化されない毒ならそのまま死んでいただろう。
「オプション変更。20㎜機関砲」
鋼鉄人六号は毒ガス攻撃から銃撃攻撃に戦法を変えた。銃弾が雨のように降ってくる。回避できるほど余裕は無い。ただ銃弾の雨を耐えるのみ。全身の筋肉に力を入れて銃弾を耐える。20㎜弾は私の表皮をヤスリがけするように削っていくが、筋組織も動脈も貫いてはいない。この程度の負傷ならばまだまだ戦える。
鋼鉄人六号の頭部を殴り吹き飛ばした。私の拳で鋼鉄人六号は首と胴体はコード一本で辛うじて繋がっているほどダメージを受けたようだ。手刀で手足を切断する。吹き出した機械油が返り血のように私を濡らす。
止めに頭部を踏み潰そうと足を天高く上げる。
「自分まだ戦えます!!自爆させてください!!お願いします!!」
鋼鉄人六号が狂ったように何かまくし立てていた。
「うおおお!!命!燃やすぜ!自爆プログラム、起動!!」
爆風が電車を揺らした。
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