花火大会 2

 キレイな花火だった。


横浜の夜景と海と花火


なんだかもう、田舎者には眩しい光景。


2時間くらいがあっという間だった。


帰り道、ものすごい渋滞で、車は全く動かない。


「何時の電車で帰るの?終電?」

と、彼は時計を気にしている。


「あ、いいよ。切符も買ってないから。

明日の始発で帰ればいいから」


「えっ?じゃ、ホテルとか予約してんの?」


「してないよ。終電で帰れそうなら帰ろうと思ってたから。

でも、無理なら、ファミレスで朝まで時間潰すから大丈夫だし。

あ、上野まで送ってもらわなくてもいいよ!

品川に住んでるんだっけ?

なんか、その辺りの最寄り駅で降ろしてくれればいいから」


「俺んち泊まろうと思ってた?

マンションだけど、会社の独身寮って感じだから、女の子連れ込むってのは、ちょいムリなんだ」


「あははっ!大丈夫!大丈夫!

全然泊まるつもりはなかったから。 

そもそも、今日、本当に駅に迎えに来てくれるとも思ってなかったし」


「えっ?なんで?」


「だって、わたしとはもう会いたくないだろうな~って思ってたし。

わたし誘って、いいよって言ってくれたけど、すっぽかされるかな~って思ってたから。

だから、大島くんち泊まろうなんて、全く思ってなかったよ」


「ねー……

うちに泊まらせることできないけど、ファミレスで朝まで1人で時間潰すなんて、そんなのも させられないから……

ホテル行かない?

車 停めたいから、ラブホになっちゃうけど」


ラブホ……


元彼とは、高校時代つきあっていたけど、キスしかしたことなかった。

高校を卒業したら、わたしのバージンをあげるね   

なんて言っていたように思うけど、高校卒業して遠距離になって、そのまま別れてしまったから、彼にわたしのバージンをあげることはなかった。 


1人で深夜のファミレスで時間潰すよりも、彼とラブホに行く方がいいか。

その時のわたしは、なんだか軽くそう思った。


「うん。すごい汗もかいたからお風呂も入りたいし。

じゃ、行き先ラブホでお願いします」


「わかった」


上野駅に向かうのをやめて、横浜郊外のラブホテルを探した。

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