アナスタシアの伝説
@ic-co
第1話 孤児アナスタシア
昔、アナスタシアという少女がいました。
アナスタシアは幼い時に孤児になり、オゾマという商人の屋敷に引き取られました。
オゾマは卑劣な商人で、自分の利益の為なら
人を騙したりすることも平気な人間でした。
オゾマの屋敷にはアナスタシアと同じ様に
小さい時にオゾマに引き取られた少女、少年が沢山いて、その全ては孤児でした。
オゾマは表向きは孤児を救うためと称しておきながら、実際はまだ幼い少年、少女達を
引き取り、まだ世間知らずの子供達に自分の都合の良い考えをすり込ませ働かせる事が
目的でした。
つまり子供達はオゾマにとって金儲けに利用する道具の様なものだったのです。
オゾマは商人ですから自分の店を持っていて
武器屋、道具屋、宿屋、劇場等があり
アナスタシアは劇場で働いていました。アナスタシアはとても美しく、彼女が劇場に
立つ日は常に満員になるのでした。
彼女目当てに国外からも足を運ぶ人間が沢山いました。アナスタシアが歌い踊れば
オゾマには沢山のお金が入ってくる。
オゾマの屋敷で働く子どもたちの中で
アナスタシアは特別扱いでしたが、正直
アナスタシアはそんな生活が嫌でした。
美しく優しいアナスタシア。
そんなアイドルの様なアナスタシアの元には沢山の求婚者が訪れました。
「結婚してくれ」という騎士。
「君の為に新しく屋敷を建てるから一緒に住もう」という貴族。
全財産をなげうって美しい宝石を貢ごうと
する者もいました。
しかしオゾマはそれでさえも自分の利益にするのです。
まず、アナスタシアに会うためにオゾマは
求婚者達に条件をつけました。
その一つがお金です。オゾマ曰く、純粋に経済力がないと結婚しても幸せに出来ないと
いう理由でした。
オゾマは孤児だったアナスタシアを引き取り
親ではありませんが、嘘でもアナスタシアを
育てた人間ではあります。
実質親代わりとしての立場は変わらないので、オゾマの発言は強い影響を持ちました。
アナスタシアに会うだけでオゾマにお金を
渡さなくてはいけなかったのにも関わらず
それでも人々はアナスタシアへ会いたかったのでした。それだけ魅力的だったのです。
ただ無事に会えても求婚者達はアナスタシアにこう言われてしまいます。
「まだその気は無いので」
実はそんな求婚者達の事を裏でオゾマは
アナスタシアに嘘の情報を流して結婚させないよう誘導するのでした。
アナスタシアを妻にしたい人間はお金でモノを言わせるような強欲な男もいましたが
中には善良な好青年もいたのです。
しかしオゾマはアナスタシアに、そんな
好青年の事を悪く言って結婚を断るように
話を進めようとするのでした。
アナスタシアはそんなオゾマのやり方を見抜いていましたが、それでも自分が求婚者達の
思いを断り続けてきたのは、前にアナスタシアが好意を持った男性がいたとき、オゾマは影でその男性に脅しや脅迫をした事があったからです。
アナスタシアはオゾマの元で育ったことで
恋をすることも臆病になり、人を信じることも出来なくなっていたのです。
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