第28話 え?愛?ああ、そのことね、それはだな....

いやー、今日は疲れたなあ。

にしてもこいつらいつ起きるんだ?

報告したことがあるから早く起きて欲しいんだが。


「うっ、私は生きているのか.....?」


おっ、セリスのやつ起きたな。


「無事みたいで何よりだ。よく頑張ったな。」


「アレス君?まさか君が運んでくれたのか?」


「ああ、みんな気絶してて置いていこうか悩みもしたが一応仲間だったからな。」


「そうか.....ありがとう。あいつは!?ミラヴォーネはどうした!?」


「なんか気が変わったって言って帰っていった。」


「気が変わった.....アレス君それは本当の事かい?」


え?何?

信じてない感じ?


「いや、マジ本当。」


「......、アレス君、なぜそうまでして力を隠そうとする?」


「隠す?なんのことだかさっぱり.....だなあ....。」


「君は.....。」


「ん、んん、!?ここは.....あたし生きていたのね.....。」


「ううん.....はっ!ここはわたくしの屋敷.....。」


おっ、二人とも起きたか。

無事みたいで何よりだ。


「あっ!アレス、そういえばあんた、セリスの事愛してるって.....本当なの!?」


「アレスさん、わたくしも聞いていました。セリスを愛していると。」


んん?

なんか勘違いしてるね君達。

俺が愛の問題だといったのは例のあれのことで.....


「アレス君が私を愛している?どういうことだ?」


「どうもこうもないわよ、あいつとの戦いで気を失う前に、言ってたのよ。『愛の問題だ』って。」


「わたくしも気を失う前に確かに聞きました。『愛の問題だ』と。」


「アレス君.....それは.....本当かい?」


『まさか私のことをアレス君が......嬉しい.....。』


ここは普通に弁明した方がいいな。

完全に誤解されてるわ。


「あー、そのことなんだが.....。」


「何よ?言い訳?」


「アレスさん、流石にそれは厳しいかと......。」


「いや、あのな?俺が愛の問題だって言ってたのは『全自動卵割り機』のことなんだ。」


『はっ?』


「いやー、魔法が使えないからもう機械作っちゃおうと思ってな。それで最近頑張って作ってた訳なんだが、それをセリス....ミラヴォーネが壊しただろ?それで『愛の問題だ』って言ったんだ。」


「ふーん、そうなんだ。『良かった。』」


「なるほど、そうだったんですね。『良かったです。』」


「ほう、そうだったのか。『残念だ.....。』」


「まあ、みんな無事だし良かった良かった。うんうん。」


「確認するけど、ミラヴォーネはあんたが倒したのよね?」


「その、なんだ、まあいろいろあってな。帰っていったというか、逃がしたというか。」


「逃がした......アレスさん、それは理由があってのことですよね?」


「ああ、あいつと話してて悪い奴じゃないってことがわかってな。なんか、俺と同じ感じがしたから『殺さない』って言ったら帰っていった。」


「なるほど、そういうことだったのか。私はてっきり.....。」


「まあなんだ、魔族にも悪い奴とそうじゃないやつがいる。それをお前たちに知っておいてほしかったんだ。」


「アレス君がいなかったら、私は魔族は悪だと思い倒すことに集中していただろう。それが聞けて良かった。」


「そうね、あんたがいなければ『魔族は敵』っていう認識だったからむやみに突っ込んでたかもね。良いこと聞いたわ。」


「アレスさんが言うならそうなのでしょう。わたくしはあなたを信じます。」


「とりあえず夜も遅い、飯食って寝ようぜ。俺は久しぶりにチョベリバーグが食べたい。」


「そうだな、ご飯でも食べに行くか。」


「そうね、お腹すいたわ。」


「ふふっ、無事に帰れたからこそ味わえるもの....いいですね。」



俺達はチョベリバーグを食べにあの店へ向かった。




・・・・・・・・・・・・・・・・




「おう、あんたたちか!聞いたぜ、魔族を倒したんだってな。今日はその礼にタダで食わせてやるぜ。!」


マジかよ、ただ飯?

ラッキー、飯代浮いたわ。


「チョベリバーク大盛りでよろしく頼む。」


まあ、タダなら当然大盛りよな。


「私は普通で。」


「わたくしも。」


「あたしは.....。」


悩んでいる時点でお前は大盛りしか頭にない。

ここは手を差し伸べてやるか。


「アリサ、ここは大盛りを頼まないと俺だけがっついてるみたいになる。」


「な、なら仕方ないわね!あたしも大盛りで。」


「あいよー!」



みんなが話しながら食事を待つ中、俺は考えていた。

正直、金は組織でも充分稼げるし、こいつらとの距離を置くにはパーティーから抜けるのが一番ではないかと。


「ちょっと。」


こいつらといた時間、悪くはなかったがいずれ追放されるならいっそ自分から抜けた方がかっこよくね?


「ちょっとったら。」


正直ふかふかのベッドで寝れることができなくなるのは残念だが....

今までハンモックとかで寝てたしまあ問題ないか。


「ちょっと!アレスったら!」


ん?あ、俺?


「どした?」


「『どした?』じゃないわよ。なんか考え事してたみたいだけど、何を考えてたのよ?」


「大したことじゃあないさ。おっ、来たぞ食おうぜ。」


「ちょっと!」


「食わないならお前の分食うぞ?」


「なっ、食べるわよ!」



・・・・・・・・・・・・・・・・



屋敷にて.......


【勇者パーティー乙女の会】


「アレス君、何か考え事をしていたようだが.....。」


「聞いても教えてくれなかったわね。」


「一体何を考えているのでしょう......。」


「私達との距離をとっていることに関係があるのかもな。」


「そうね、それ以外考えられないわ。」


「やはり、なにか気に障ることをしたのでしょうか....。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・





アレス『今夜だな。』

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