第7話 ギルドで冒険者登録、え?ランク?知らないね
うわあ、ごちそうだあ。
流石伯爵家、出てくるものが美味そうなものばかりだ。
早速頂くとしよう。
どれどれ....うんま~い!
初めて食うぞこれ、いったい何だこれ!?
「これは一体何だ?」
「それはフォンワグーラのソテーです。グァン鳥の肝臓を油で焼いたものです。」
「なるほど、これはいい。」
「ふふっ、気に入って頂けたようで何よりです。」
今度組織のボスに食わせよう。
そしたらワンチャン前回の件許してくれるかも。
朝食を食べながら、俺たちは今日の予定について話す。
「今日はアレス君の冒険者登録をしにギルドに向かおうと思う。」
んん?ギルド?冒険者登録なんてそりゃまたどうして。
「あんた、冒険者登録してないの?」
「俺には無縁な場所だからな。」
「アレスさんなら、すぐに私たちと同じランクまで上がれますよ。」
基本的に裏の仕事は、ギルドでは扱えないものが回ってくる。
つまり、俺には無縁の場所だった。
ギルドでは冒険者登録すると、様々な依頼が受けられるシステムだ。
「今後はギルドで依頼を受けることが増えるだろう。ちょうどいい機会だし、アレス君にも冒険者登録をしてもらおうと思う。」
「なるほど、分かった。ちなみに必要なものとかあるのか?」
「基本的に身分証明ができる書類と、試験に使う武器があれば大丈夫よ。」
ふむふむ。
まあ組織のメンバーカードと愛用の刀ブーヴィーがあれば大丈夫そうだな。
こうして朝食を終えた俺達は、ギルドへ向かった。
・・・・・・・・・・・・・・
「今のところギルドには何人ぐらい登録しているんだ?」
「この街だけで300人以上、王国全体で大体5000人ほどだな。」
「各街にギルドの支部が設置されていて、そこから冒険者登録ができる仕組みになっているんですよ。」
「あたしたちがこれから行くのはテーレン支部、つまりこの街のギルド支部ということになるわね。」
「ほーん、ちなみにみんなのランクは?」
「S級だ。」
「S級ね。」
「S級ですね。」
「なるほど、S級ねえ。」
え?みんなランク高すぎん?
いやまあ勇者パーティーだしそんな気はしてたけどさあ。
これで俺だけD級とかだったら....
いや、考えるのやめよう。
・・・・・・・・・・・・・・・
そんなやり取りをしているうちに、ギルドに着いた。
「ここがギルド....なるほど、依頼も様々なものがあるようだな。」
「とりあえず、アレス君の冒険者登録の申請をしに行こう。」
俺たちは受付嬢のもとに向かう。
「ようこそおいでくださいました、勇者パーティーの皆様。」
「彼の冒険者登録をお願いしたいのだが。」
「冒険者登録ですね、かしこまりました。身分証等はお持ちですか?」
俺は胸ポケットから組織のメンバーカードを取り出す。
「これだ。」
「このカードは.....まさか.....少々お待ちください。」
受付嬢が裏の方へ小走りで駆けていく。
「どっか行っちゃったな。」
何しに行ったんだろ。
トイレかな?
「あんた何してるの!身分証代わりに【紅】のメンバーカード出すなんて!」
「なんかマズいのか?」
「そりゃマズいでしょ!裏稼業やってますって言ってるようなものじゃない!」
「いやあ、でもうちの組織別に秘密事項とか特にないしなあ。」
「きっと彼女はギルド支部長を呼びに行ったのだろう。」
「そうですね、【紅】のメンバーがギルドに登録しに来たとなれば流石にいつも通りとはいかないはずです。」
なるほど、そういうものか。
まあとりあえず待ってればいいんだよな。
待つこと数分。
「アレス殿はどちらだ?」
なんかごつい人が出てきたんだが。
この人が支部長?
「俺がアレスだが。」
「君が【紅】のアレス....なるほど、噂には聞いている。ここで話すのもなんだ、ついてきてくれ。」
俺たち一行は支部長についていき、ある部屋に入る。
「好きに掛けてくれ。」
思わず、『よっこいしょ。』と言いそうになるのを堪えて座る。
「で、話とは?」
セリスに俺のセリフ奪われたわ。
まあパーティーリーダーだし?別に気にしてないし?
「勇者パーティーに【紅】のアレスが入ったという噂を聞いたが.....まさか本当だったとは。【紅】はこのことを知っているのか?」
みんなの視線が俺に集まる。
「いや、知らないはずだ。特に報告もしてないしな。」
報告なんてしたら、俺の居場所がばれて怒られるし。
「しかし大丈夫でしょうか?【紅】が、アレスさんが勝手に勇者パーティーに入って活動をしていると知ったら、流石のアレスさんもお咎めなしとはいかないのでは?」
それなんよ。
こないだの仕事の一件もあるしな。
「あんたのことだからうまい事立ち回ってるんでしょ?考えなしに行動するタイプには思えないし。」
すまん、賃金目当てでパーティーに入っただけで、特に考えはないんだわ。
「支部長、アレス君の冒険者登録、どうにか受けてもらえないだろうか?」
「まあ、本人が気にしないならいいんだが....。測定するまでもないと思うが、剣術試験と魔力測定を受けて欲しい。」
「ああ、構わない。」
・・・・・・・・・・・・・・・
「まずは魔力測定だ。この鏡に手をかざしてくれ。」
結構高そうな鏡だな....。
とりま言われた通りにっと。
俺は鏡に向かって手をかざす。そして魔力を込める。
バリバリバリッ パリィン!
鏡は電撃が走ったと思った瞬間、割れてしまった。
「これは....。」
「なるほど、アレス君の魔力はやはり測定不能か。」
「あたしよりも上だとは思っていたけど、これ程とはね。」
「この魔力....賢者クラスですね....。」
よく聞こえないけど、きっと弁償の話だろう。
悪いけど俺はしないよ?
言われた通りにやっただけだし。
「剣術試験は受けなくていい。これ程の魔力を持っている時点でもう実力の見当はつく。」
剣術試験やらなくていいの?ラッキー!
さてさて、俺のランクは....
「アレス殿のことだが、魔力測定の時点での実力からして、ランク付けできないものと判断した。」
ん?ランク付けできない?
どゆこと?
え、なに、俺D級以下ってこと?
「アレス君のことだ、なんとなくそんな気はしていた。」
「まあそうなるでしょうね。」
「当然の結果ですね。」
おいおい、あんたたち俺がD級以下認定されるの知っててここに連れてきたのかよ....。
「これがアレス殿のギルドカードだ。再発行するのは厄介だから無くさないよう注意してくれ。」
「あっ、ああ、ありがとう...。」
なんだこのギルカ?
ちょっと光り方がみんなのと違う。
しかもなんか下に『備考:【紅】所属、ランク測定不能』って書かれてるんだけど。
まあこういうのは今に始まったことじゃないから、気にするだけ損やな。
こうして俺の冒険者登録は無事?終わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
その後のテーレンギルド支部では....
「ここにアレス様はいらっしゃるか?」
「あなた方は一体....。」
「私達は【紅】の諜報員をしている者だ。ここにアレス様がいると聞いてきたのだが。」
「【紅】の!?これは失礼しました!しかし申し訳ありません、彼は10分ほど前に出ていきました。」
「そうか...。情報感謝する。」
「とりあえずボスに報告しに戻るとしよう。」
「そうね。」
組織の諜報員は確実にアレスに迫っていた。
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