第4話数学講師
大学時代、僕は中学生に数学を教えていた。
今は、息子の数学の宿題を解くのに必死になるくらい、公式を忘れてしまったが。さもありなん。当時は19歳のバリバリの大学生なんだから。
僕の声は良く通るらしく、他の教室にも聴こえる位で埼玉の学習塾だったが、田舎モンの僕の方言は珍しいみたいだ。
当時、関東では方言が羨ましいと言われていた時代。何かのドラマの影響だが、関西弁は聞き慣れているから、その他の田舎の方言がカッコいいとされていた。
そのブームは1年位で終了したが。
ある日、塾長さんから、英語は90点以上で問題無いが数学は40点以上取ったことのない男の子がいるから、そこの所を宜しく!と言われた。
僕は中学2年生の担当で、一学期の1ヶ月間は小学生の算数、1年生の数学を復習させて、同じような問題を何回も教えた。それを反復学習と言う。
そして、中間テスト。
生徒は96点を叩き出した。
保護者に飛んでもなくお礼を言われた。袖の下は無かったが。
で、僕は確信した。高校の世界史教諭も夢では無い。
高校教諭として、活躍出来ると。
しかし、半年後、母に病魔が襲いかかり、大学を中退した。
僕の時代は、学費が異常に高く、アルバイトを3つ掛け持ちでお金を作ったが足りなかった。
ま、これも運命だろう。
でも、いい思い出であり、自分の自信にもなっている。
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