第2話警視庁受験
僕は21歳の時、警視庁受験の為に東京へ向かった。19歳までは、板橋の校舎に通っていたので、受験会場まで迷うこと無くたどり着く。
前夜、カプセルホテルに泊まった。
隣のカプセルから、有料テレビのイヤホンが抜けて、AVの音漏れが聴こえてくるのが笑えた。
夜中の1時まで、受験の勉強をして僕も有料テレビを見た。
ムラムラして、下半身を握り上下にシコシコしていた。
すると、いきなりカプセルの幕を開ける者がいた。
ソイツは番号を間違えて、開いたのだ。
僕は下半身を握ったまま、ソイツをにらんだ。
「すいません」と、言うと隣のカプセルに入っていった。
シコシコの場面を赤の他人に見せるとは……。
翌日、試験があった。解ける。
地元に帰った僕は合格をもぎ取ったと考えていたが、2週間後、不合格の通知が来た。
当たり前だ。
翌日受験なのに、有料テレビを見ながらシコシコして他人に見られるような人間が警察官になれる訳がない。
警視庁、皇宮警察、税関、海上自衛隊。
この中で受かったのは、全国で200人しか受からない、海上自衛隊の曹候補学生。
しかし、僕は大学を選択してしまった。
それが、失敗だった。曹候補学生なら給料貰いながら勉強出来たのに……。
世の中、上手く行かないね。
何百人も受かる警視庁は落ちて、合格率3%の試験は受かる。
これが、受験のマジックである。
今は障がい者として、細々と生活している。
あの頃に戻れたら、曹候補学生に行くだろう。
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