思い出話をしてみよう
羽弦トリス
第1話親戚のオジサン達
僕が20歳の時は、大学を中退して鹿児島市内でアルバイトをしながら就職活動をしていた。
道路工事などに必要な、2号警備。いわゆる、交通誘導警備。
ハードなアルバイトだった。ある日の夜に、携帯電話が鳴る。
親戚のオジサンからであった。
そのオジサンは地元の市役所職員の偉い人で県庁に出張中であった。
今から飲みに来なさいと言って、居酒屋さんの名前を言った。
僕には当時、高校生の時から付き合っていた彼女がいるのをオジサンも知っていて、彼女も連れて来なさいと言った。
僕は電話が終わると着替えて、テレビを見ている彼女を誘ったが、行かない!と、言う。
1人で、居酒屋に向かった。店内に入ると、
オジサンと同じ市役所職員のお兄さんもいた。2人とも、母方の親戚である。
僕は大学時代に飲み会では無敵艦隊の異名を持つほど酒が強かった。
お兄さんは僕のグラスにビールを注いでくれて、乾杯した。
焼き鳥がどんどん運ばれてくる。
何時間飲んだのか?忘れてしまったが、僕は相当飲んだ。
ビールから、飲み慣れていない日本酒。
オジサンとお兄さんは、ガブガブ日本酒を飲んでいる。
大人になったら、日本酒などはちびちび飲むモノと考えていたが、オジサン達は違った。
親戚の面白い話しを聴いて、若い僕は半分くらいしか理解出来なかったが、楽しかった。
ここで、オジサンが会計して終わりになった。
外に出るとオジサンが、◯◯君。ラーメン屋に行くぞ!と、言った。
散々飲み食いして、更に食うのか?僕は限界だが……。
オジサン達は3人前の焼き餃子とラーメン、ビールを注文した。
もう、ビールを1杯位しか飲めない状況だったが、ラーメンを食べきり、ビールも飲み干した。残った餃子はオジサンが袋をもらい中に入れて持ち帰った。
僕は、大人の飲み方とはこういうものなのか?と、初めて知った様な気がした。
酒好きは、ハシゴをするもんだと、勉強した。
それからと言うもの、僕は友人と飲む場合必ず2軒はハシゴするようになった。
今、あの時のお兄さんと同じ歳になった。
若い子に酒をご馳走する身分になったので、ハシゴが当たり前になった。
オジサンは今、90歳前。お兄さんは今年の3月、市役所を定年退職した。
僕でさえ、あの時は20歳だったが、来週44歳になる。
こういう飲んべえ家系は、皆同じ道を歩むのだ。
初めてハシゴ酒した、あの夜は忘れられない。
とても楽しく、自分の飲酒人生を変えた飲み会だった。
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