カクヨムプロットコンテスト「後半」


…【プロット】その2


◯物語構成


 四章立て。


 一章(二万字)

 二章(四万字)

 三章(三万字)

 四章とエピローグ(三万字)


 合計でおよそ十二万字。



〇一章(一章~二章は「英国都市」が舞台です)

 ※仮想世界であるという事実は二章の終盤で明かされるので、それまでは伏せたまま、仮想世界が『現実世界』である前提で進みます。



 攫われ体質のハガネ(※以降は「お姫」)を利用し、怪盗――とオシャレに言ってはいるが、ようするに盗賊・盗人である――活動をするパトリクス。


 お姫が攫われることで、パトリクスの手から彼女が離れる……それを利用し、盗んだ金品をお姫が持つことで、パトリクスの脱出リスクを減らすことができる。


 一時的な倉庫として利用し、身軽になったパトリクスは、侵入した屋敷から颯爽と脱出し、攫われたお姫を「バギー帝国の尖兵」から救出する。


 心の穴に引き寄せられる「バグ」だが、パトリクスのおかげでお姫の心の穴は埋まっている……、バグが固執してまで彼女を攫う理由はない。

 そのため、救出自体はいとも簡単にできてしまう。


 しかし攫われ続けることでお姫の体質に変化があった。

 彼女をゆっくりと蝕んでいたバグの影響で、箱庭世界から『存在が消えつつ』あったのだ。




〇二章


 他者に認識されにくくなったお姫だが、パトリクスは変わらず彼女のことを認識できている。

 認識しづらいだけで、この世界からいなくなったわけではないため、彼女を必要としているパトリクスは、忘れることができないのだ。


 パトリクス以外に認識しづらいのであれば、たとえば屋敷の中を堂々と歩いて金品を盗んでもばれないのでは……?


 作戦を決行したものの、パトリクスは忘れていた。

 確かに人の目には映らないかもしれないが、「バグ」には見えている。


 そしてどんな状況下でも絶対に攫われる彼女は、回避しようとしても攫われてしまうのだ。……攫われることでバグが進行しているとしても、止められない。


 しかも、周りはお姫のことが見えないかもしれないが、バグは見えてしまっている。

 不気味な黒いその存在に、屋敷はパニックになってしまう。


 攫われるお姫を奪い返そうと立ち向かうパトリクス。

 バギー帝国へ連れていかれてしまえば、バグが進行してしまう……だからなんとしてでもここで止めるしかないのだが、敵のバグが、パトリクスの穴を突いた。

 半人前の怪盗であること――お姫がいなければ成功しなかったことへの劣等感が穴となり、バグに侵入される。


 バグの侵入を許したパトリクスは、「不具合」に苦しみ、そこで彼は新たな能力を得る。

 使えば使うほどバグが進行する能力(バギー・プログラム)だが、これがあるからこそお姫を助けることができる。


「触れたものをブロック状に裁断する能力」を利用し、お姫を救出するパトリクス……しかし。

 バグに侵されたパトリクスが倒れてしまう。


 屋敷から逃げられないお姫が、パトリクスを抱えて叫ぶ――


「早くわたしを攫ってよぉ!!」


 攫われ体質を利用し、二人は移動のショートカットに成功。

 見知らぬ森へ辿り着いたお姫は、見える近くの民家へ、パトリクスを引きずって向かった。


 その民家にいたのは、魔女パンデミックだ。

 通常なら、この場へ入ることができない二人だが……バグのおかげで入ることができたのだ。


「またあなたなのね」

「え?」


 魔女を見て、蓋をした真実を思い出してしまったお姫の記憶を、今度は完全に消してしまおうとする魔女だが……、お姫を庇うためにパトリクスが立ち上がる。


 真実とはなんだ?

 この能力は? 裏の間の住人は?

 真実に近づいたパトリクスを見て、魔女が真実を語り始める……。



 バグ退治を手伝うことで、記憶の消去を免れた二人。

 だが互いに時間の問題ではある……、

 バグが進行すれば、いずれ二人は消えてしまうのだから。




〇三章(三章~四章は「水の都」が舞台です)


 バグ退治を続けていても、このままでは終わりが見えない。

 そのため、他の魔女にも助けを求めようとパトリクスが動いた。


 魔女パンデミックに聞けば、箱庭の存続について他の魔女と揉めているのできまずいらしく、パトリクス単独で向かうことに。


 攫われると困るので、お姫は魔女の元でお留守番である。



 向かったのは水の都だ。

 そこで出会った小柄な少女に、ぬいぐるみを奪い返してほしいと頼まれる。

 奪った相手は魔女スコールである。


 戦って勝てる相手ではないため、ここは怪盗らしく、ぬいぐるみだけを奪うことにした。


「あのぬいぐるみには『初期化コード』が入ってる……」


 それは、世界を0に戻す、スイッチだった。



 そのぬいぐるみにはバグが既に手を入れていたのだ。

 それを感知した魔女スコールが、穏便に対処しようとしたが……遅かった。


 バグの影響でぬいぐるみは巨大化、さらに凶暴化してしまう。

 そして、少女の近くにいたぬいぐるみも全て、バグが仕込まれていて――。


 パトリクスが魔女スコールからぬいぐるみを奪還したことで、都は混乱に陥ってしまう。

 魔女スコール、そして小柄な少女(魔女・M・チュード)によってぬいぐるみは討伐されるが……この一件がきっかけで、魔女スコールはある決断を下す。


 世界をリセットしよう。


 暴君のような判断に、パトリクスが能力を使って魔女スコールを止めようとするが……。


 バギー・プログラムを持つパトリクスを「バグ」であると認識し、彼女は本気で退治しようとする。


 パトリクスを守るため、魔女・M・チュードが「特権」を使うが……そこにバグが入り込む。

 バギー帝国に特権が奪われた。


 スコールとの対立に、彼女の心の穴が空いたために突かれたのだ……、水の都全体がバグに侵され、バギー帝国が表の世界へ出現する。


 魔女が持っていた「初期化コード」も奪われ、「リセットする」という逃げもできなくなってしまった。


 勢力を拡大させたバギー帝国の尖兵、そして精鋭が、箱庭を支配しようと動き出す。

 侵略を止めるには「帝国」を倒すか、初期化コードを奪い、リセットするか……――それしかない。


 倒すのは現実的ではない。

 だから、奪うしかないのだ……怪盗パトリクスと、生餌のお姫を使って。


 リセットするための戦い。

 パトリクスからすれば消滅するために戦うものだが、このまま支配されるよりはマシだった。




〇四章とエピローグ


 魔女総動員。


 最後の魔女であるフラッシュ・オーバーも参戦し、

 スコール、パンデミックで、バグを引き寄せる。


 倒しても倒しても湧き出てくるバグは、もうどうしようもないので、倒すのは時間稼ぎだ。


 今の内に、帝国へ侵入したパトリクスとお姫が、「バグに侵された」魔女・M・チュードから、初期化コードを奪い取ろうとする。


 攫われたことで、異空間を通り距離をショートカットできる技を利用し、大量の敵を飛ばして帝国の中枢へ向かう。


 それでも飛ばせない敵はいる。


 帝国の精鋭を相手に、パトリクスが能力を使用して戦うが……、バグの浸食で彼の体が分解されていってしまう。


 自身の体がブロック状に裁断されてしまい、体がバラバラになってしまうが、お姫が抱きしめることで、「離れるパーツをぎゅっと一か所に留める」ことに成功した。


 バラバラになれば敵の攻撃を避けることができるが、意識を失いかけてしまう……もうパトリクスには時間がない。


 でも、二人一緒なら、まだ戦える。



 魔女の方では最終手段が決行された。


 お互いが作った町や島を、浮遊させて水の都へ突撃させる。

 自身の箱庭内であればなんでもできる魔女の特権……、

 それは空間ではなく町や島が対象となるのだ。


 島、都市、都、カジノが混在する一つの巨大な瓦礫の塊は、全員の特権が作用する無法地帯になっている。


 同時にバグも侵入してくるが、支配される前に特権を使ってしまえば問題はない。


 特権を利用し、魔女スコールが魔女・M・チュードの懐へ潜り込む。

 彼女の心の穴はスコールとの対立によってできたものだ。

 つまり、仲直りをすれば、彼女の弱い心は支配を跳ね返すほどの強さを取り戻すはず……。


 すると、バグが勢いを衰えさせた。


 初期化コードが入ったぬいぐるみが弱体化し、瓦礫の山を逃走するが、パトリクスに鷲掴みにされる。

 彼をそこまで運んだのは魔女と、お姫だ。


 そして、手の中にある初期化コードを、パトリクスが押した。


 全てが初期化される。

 パトリクスも、お姫も、全てが――0に戻った。



 バックアップなんてなかった。だから本人だ、とは言えないけれど。

 でも、新しい世界で……森の奥の小さな家で……パトリクスとお姫は、平和に過ごしている。




◯二巻について


 一巻で「今回の箱庭」は消滅するので、魔女たちが新しく作った「新生・箱庭」で、とある少女が冒険をする予定になります。


「バグ」があることを学習した魔女たちが、バグを感知して退治する「バグフィックス」を導入し、箱庭の中で生きる「少女」として誕生させた。


 だが、「バグフィックス」の少女は好奇心旺盛で、本来の仕事を放棄し、世界の全てを見たいと言って旅に出てしまう。


 箱庭に関わる魔女を増やしたために、世界はさらに広くなってしまい、旅をしている彼女を見つけるのも一苦労……。

 

 そんな中で、「バギー・プログラム」に犯された人々が起こす事件や、「ない前提」で広げた箱庭に生まれた「バグそのもの」の少女が、旅をしている少女(主人公)を始末しようと狙って、動き出していきます。


「勢力を拡大していくバグ」と、たった一人の「バグフィックス」の対立を描きます。



 ……参考作品「この素晴らしい世界に祝福を!」のようなコメディをイメージ。

 だけど拠点は決めずに、次々と新しい町や島へ訪れていく、前進する物語を想定しています。


 そして主人公側の冒険と並行して、「バグ側」の勢力拡大の様子も追っていくつもりです。

(※参考作品は「僕のヒーローアカデミア」のヴィラン・サイドのお話です)




 一巻から二巻へ、話は続いていますが、一巻主人公とヒロインは「モブ」になります。


 一巻を必ず読まなければいけないわけではない、という形を想定しています。


 それでも一巻を知っている前提で話を進めますので、二巻から読み始めた人からすれば、「箱庭世界が仮想世界である」という真実は知らないまま、になると思います。


 なので、その真実は「ふんわりと、ほのめかす」程度で進めていきます。

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