第18話  瑠花ちゃん ①

「早百合〜入りますわよ〜」


 ちょ、ちょっと待って!!


 私のメガネはどこ!?


 あの変なメガネさえかけていれば私の変装は完璧なんだから!


 どこに置いたんだっけな?


 そんなことを思いながらふと早百合を見ると私のメガネをかけていた。


 え、なんでかけてるの?


 私と目があった早百合は、いや変なメガネのせいでほとんど目なんて見えないんだけど、たぶん『どうしたの?』と言っているような視線を送ってきた。


『はぁ〜〜』


 たった3秒ほどのこの時間で私にできることなどあるわけもなく、心の中でため息をつきながらおとなしく諦めるしかなかったのだった。


 ガチャ


 そしてついに、早百合の同室者がこの部屋に入ってきてしまった。


「えっ、あなた…」


 そう、口調でなんとなくわかっていたけど早百合の同室者は瑠花ちゃんだった。


 瑠花ちゃんと目があってしまった私はもう誤魔化すことなんてできず、ただただ瑠花ちゃんのことを見つめていた。


「あなた、美波ですわよね?」


「あはは、久しぶりー瑠花ちゃん」


 早百合だけでなく瑠花ちゃんにまで正体がバレてしまった私は、乾いた笑みを浮かべるしかなかった。


「お、お久しぶりですわね美波。どうして学園にいるんですの?それに、その制服も」


 瑠花ちゃんはものすごく混乱しているようだった。


 当たり前だろう、学園にいるはずのない私がここにいるのだから。


 とりあえず、瑠花ちゃんにはさっき早百合に話したことと同じことを話すことにした。


「つまり、美波は香澄と唯香さんをカップルにしたいということですわね!面白そうですわ!もちろん手伝いますわよ!!」


 瑠花ちゃんは案外乗り気なようで、生徒会にも入ると言って『今すぐにでも何かしたいですわ!』と張り切っていた。


「あっでも瑠花ちゃん。生徒会以外に入りたい委員会とかなかったの?」


 確か、小説だと瑠花ちゃんは香澄と同じ風紀委員に入っていたから少し気になってそう聞いてみた。


「ええ!もともと生徒会に入ろうと思ってたから大丈夫ですわ!それに美波は私の親友ですもの、手伝うのは当然ですわ!」


 瑠花ちゃんに親友だと言われて嬉しくなっていたけど、なんで生徒会に入ろうと思ってたんだろう?


「えへへ、ありがと。だけどなんで生徒会に入ろうと思ってたの?」


 そう聞くと瑠花ちゃんは私が思いもしなかったことを言ったのだった。

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